酷道として有名な418号線を2泊3日で走ってきました。
10/13 10時越前大野駅に到着。久しぶりの輪行で自転車の組み立てにもたもたする。いつもの福そばのソバで腹ごしらえをして行こう。昼頃、越前大野を出発する。R418は越前大野を起点とするが、岐阜県本巣市根尾樽見まではR157との重複区間なので、道路標識は全て157で418は見かけない。市街地を抜けると上庄、全国的ブランドの里芋の産地だ。イモ車で洗ったここの里芋は絶品だ。目を上げれば荒島岳がくっきりと聳えている。
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名水百選 越前大野の御清水 | 越前大野北郊 上庄地区 | イモ畑と荒島岳 |
道は大野盆地から真名川の渓谷の中へと入って行く。真名川ダム。ダム湖畔に金色の麻那姫の像が建っている。田沢湖の辰子姫の真似かな? ここから岐阜県境までは旧西谷村で真名川ダムによる水没、三八豪雪、昭和40年水害などで大被害を受け一村が消滅した。
真名川源流の温見川に入る。最初にここに渓流釣りで入ったのは昭和40年代だったと思うが、幅広い河川敷は岩が累々と重なりなにやら凄惨の気に満ちていたが、今はすっかり灌木が覆い繁り穏やかな姿となっている。所々には人家があり、人の気配がする。少しずつ人が戻ってきているようだ。もとの温見部落跡には故郷の碑が立っている。
真名川ダム | 真耶姫像 | 温見川 |
温見川の河原 | 道路標識 | 温見部落の跡 |
激登りの温見峠までの坂道を何とか押さずに漕ぎ上がる。ここから岐阜県。根尾川源流を下ってゆくと根尾黒津に厳重なゲートがある。ここから数キロ、根尾野郷手前まで通行止めである。林道へ迂回するように指示がある。これに従うと山中で日が暮れる。厳重な柵であるが、だいたい自転車がすり抜ける隙間はある。まあ、武士の情けみたいなものか。自己責任で通るということで下ってゆく。夕方暗くなる前、やっと旅館のある樽見に到着。
もうすぐ温見峠 | 温見峠 | 野郷の不通区間 |
今頃の飛び込みでは、夕食の支度ができるわけもなく、空室があっただけでも幸いだった。
10/14 樽見からは純粋のR418となり、初めて418の標識を見る。ヤマボウシ街道の愛称がつけられているようだ。
東へと走る。武儀川を下り長良川を渡る。ここは小瀬の鵜飼いで有名なところだ。関の町に入る。ここから美濃加茂までは平坦な街道を走る。一面のコスモス畑に見とれしばらく休憩を取る。
初めての418号線の標識 | やまぼうし街道 | 路傍のチカラシバ |
武儀川の清流 | 長良川を渡る | コスモス畑 |
美濃加茂の北方を抜け丘陵地帯に入ると周りは果樹園となり路傍の店には、大きな梨と柿が並んでいる。一軒の店に入り、巨大な柿「太秋」を一個買い、ついでに新高梨を5、6片試食させてもらう。どちらも乾いた口には大変甘く感じられる。坂を下ると川辺町。飛騨川の川辺ダム湛水帯が漕艇場となっていて、競技用のボートが沢山いる。この辺り、R418はいつの間にか「ハクウンボク街道」と名前が変わっている。
飛騨川を渡り、山裾を廻ると木曽川の流れに出会う。少し上流に走ると八百津の町だ。八百津なんて聞いたことがなかったが、小さいながら古くて由緒のありそうな町だ。栗きんとんはこの辺りでは中津川が本場と思っていたが、この町が元祖のようだ。町中に栗きんとんの看板を挙げた菓子屋が何軒もある。杉原千畝の生まれた町のようで、記念館があるが今回はパスする。
町を外れると今は使われていない巨大な発電所の建物がある。産業遺産として重要文化財になっている八百津発電所だ。これは見学しなくちゃ。大きな建屋に入ると巨大な水力発電機が二機並んでいる。壮観である。これこそ日本の産業発展の原点だと実感する。
少し上流に新しい丸山発電所があり、滔々と木曽川に水を吐き出している。その上が丸山ダムだ。
飛騨川の漕艇場 | 八百津 | 八百津の街 酒屋 |
八百津発電所 | 発電所内部 | 丸山ダム |
八百津から上流で木曽川は深い渓谷を形成し、その出口に丸山ダムが造られている。人家集落は渓谷の上、300mほど高い丘陵地帯にあり、ダム湖畔は無人である。このダム湖畔にあるのがR418を有名にしている不通区間である。現在、山の上にR418のバイパスが作られつつあり、また新丸山ダムを建設して、水位のかさ上げの計画もあるようなので、この区間が開通することはなさそうである。
いよいよ不通区間に入って行く。入り口に通行止めの看板はあるが柵はないし、小型車なら通行可能だ。舗装された跡はあるが今はガタガタ道である。しかしダム湖畔だけあってほとんど水平で意外と走りやすい。二股トンネル。真っ暗な狭いトンネルの中を薄暗いライトで走るのは、平衡感覚がおかしくなって頼りない。通行止め標識には二股トンネルで崩土とあったが、何もない。
ダム湖 | 通行止めの標識 | 418号線 |
十日神楽への分岐点。ここに初めて車は絶対通り抜けられない厳重な鉄柵が新しく設けられている。自転車は例によってスルリと通り抜けられる。道は最近修復の手が入っているようで、ネットで見たような崩落区間やブッシュ状態のところはなく、小型車両なら十分通行可能だ。そうなったがために却って柵を厳重にしたようだ。自転車も問題なく乗って通過できる。竹藪があり芭蕉が生えていて廃車が2台放置されているところはかつて人が住んでいた場所だろう。ネットで見ると必ず写真が出ている場所だ。
やがて、丸山ダムの湛水帯が終わり、再び木曽川の雄大な流れが見えてくると、笠置ダムが近づく。出口側の鉄柵が見えてきた。傍へ寄って愕然。自転車の通り抜ける武士の情けの隙間がない。偏執狂的に柵を繞らせている。高さは2m近くあり、乗り越えることもできない。あれこれ考えるも、どうしようもない。ロープでも持っていれば、柵の上に乗って引っ張り上げられるかもしれないが。
引き返すしかないと覚悟を決めたとき、反対側からオートバイがやってきた。ライダーも通り抜けられるかもとやってきたらしい。彼が向こう側で自転車と荷物を受け取ってくれて、辛うじて通り抜けることができた。こんな幸運は滅多にない。
十日神楽への分岐点 | 住居跡の芭蕉 | 竹藪と廃車 |
整備された国道 | ダムの湛水帯が終わる | 上流部の柵 |
不通区間の通り抜けに相当時間がかかった。武並に着いたときはもういい時間だ。一軒だけある駅前の旅館に行くも、満室とのこと。次に宿がありそうな町は岩村だろうが、明るいうちにつく自信が無い。やむなくR418を外れて、R19に入り恵那に向かう。恵那のビジネスホテルに泊まる。
10/15 恵那からR257を取り、阿木川ダムに上がる。湖面の朝霧が風になびいて美しい。
岩村の町に入る。小さな城下町だ。女城主がいたというのが町の売りらしいが、林述斎、佐藤一斎といった儒学者の出身地でもある。城跡を廻って、再びR418(R257重複区間)に戻る。坂を登って木の実峠へと向かう。ここは頑張って旧道を取るつもりっだったが、旧道入り口を通り過ぎてしまい、楽な新木の実トンネルに入ってしまった。
恵那市街遠望 | 阿木川ダム朝霧 | 明知鉄道 |
岩村の町通り | 薬屋の古い看板 | 岩村城太鼓櫓 |
トンネルを抜けると木曽川水系から矢作川水系に入る。木の実川を下ると、R257と別れR418は矢作川支流の上村川に沿って東へ向かう。道は細くなり車が対向するのも難しいほどになるが、人家もなく車の通行はほとんど無い。達原渓谷は深く、所々に美しい滝がかかっている。地図を見るとこんな山の中に海なんていう地名がある。路傍は秋の気配が一杯である。菊科の花はヨメナかな? 帰化植物のセイタカアワダチソウも今では日本の秋にすっかり溶け込んでいる。
渓谷の途中で岐阜県から長野県平谷村に入る。岐阜県は大きかった。平谷村は人口500人ほどの村のようだ。道は更に上り続けて今回の最高地点、平谷峠(1160m)を越えて天竜川水系に入った。峠からの行く手の展望は素晴らしい。坂を下るとこれも小さな村の売木村の中心地だ。あまり旨くないソバの昼食。ちょっとした坂を上り売木トンネルを抜けると後は天竜川本流まで700m以上の大下りだ。天竜川に出るともう終点は近い。
東へ | 上村発電所 | ヨメナ? |
ススキとセイタカアワダチソウ | 達原渓谷 喉の滝 | 達原渓谷上流部 |
長野県に入る | 今回の最高地点 | 平谷峠から東の展望 |
天竜川沿い、飯田線平岡駅。ここがR418の終点ではない。更に支流の遠山川をさかのぼって南信濃でR152と接続してやっとお終いとなる。
ここから更にR152を南下して、水窪に向かおうかとも考えたが、以前に通ったことがあり、ちょっとうんざりしてきたこともあり、平岡駅まで引き返して今回の輪行を終わりにした。
売木峠より平谷峠を振り返る | 天竜川 | 平岡の町 |
天竜川支流・遠山川 | 南アルプスを望む | R418終点・南信濃 |
約280kmほどの走行でした。
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