アケボノツツジ山行
(大崩山ー傾山ー祖母山縦走 2012.05)

 

 数年来、アケボノツツジを見に祖母・傾に行きたいと思っていが、貴重なゴールデンウィークをわざわざ九州まで出かけて2日ほどの山行に使うのもどうかと躊躇していた。しかし、ガイドマップで大崩山から傾山まで縦走路があることを知りこれを繋ぐとなかなかの山行になると考えた。

/1 延岡からタクシーで上祝子。小雨の中、大崩山荘から沢コース(モチダ谷)で大崩山を目指すことにする。大崩山荘前の下小積尾根の渡渉点はもう増水で渡れない。次の和久塚渡渉点ももう少し水が上がってくるとやばい状態だ。これでは吐合でも渡渉できるかどうか不安だが、とりあえず行ってみて駄目なら近くでテントを張るか、大崩山荘までバックすると決めて先に進む。吐合までは祝子川左岸の山腹を小谷をいくつも越えながら進む。途中で木山内岳から下山してきた女性単独行者と出会う。アホか!という顔で「こんな天候で沢に入ると大変なことになりますよ」 「とりあえず吐合まで行ってみます」で別れる。五葉ダキの一枚岩をヘツリ、谷へ下ると吐合だ。見ると流れは穏やかで膝上ぐらいの深さで難なく渡れそう。靴のまま膝上の徒渉をして対岸に渡り、右岸を進んで行く。もう少しでモチダ谷というところの段丘でテントを張る。今回は軽量化のため、一人用テントを本体抜きでフライシート、グランドシートとポールでタープとして使用する。これでだいぶ軽くなったが、やはり裾からの風が気になる。雨は止まない。衣類はだいぶ濡れている。

祝子川登山口の滝 

 雨に濡れるミツバツツジ

 五葉ダキ

 キャンプサイト

 

/2 昨夜から早朝にかけて豪雨。だいぶ増水しており、引き返しても渡渉はできず、進むのも先が見えず、濡れた衣類を着込むのもおっくうで一日停滞と決める。やっぱりアホやったか。しかし、食料は十分にあるし、この時節そう長く雨が続くこともあるまい。本もラジオもなく、何にもすることのない一日の長いこと。午後になってようやく雨が止んだが、日差しが差すというほどのことはない。このまま晴れに向かうのか、また降り出すのか頼りない状況だ。

/3 幸い天気は快方に向かいそうだ。小さい谷なので増水も速いが引くのも速い。もう通常の水量に戻っている様子だ。乾いた衣類は貴重なのでしまい込み、濡れた着類を着込んで出発する。2回の膝下の徒渉でモチダ谷に入る。モチダ谷は小さな谷でだいたい左岸に捲き道が付いている。源流近くから尾根筋を上る。日差しが差して暖かくなってきた。中腹からお目当てのアケボノツツジが現れる。丁度見頃だ。稜線に出ると上鹿川からの登山道だ。荷物を置いて大崩山山頂をピストンする。山頂は展望のないつまらない処である。少し手前の石塚が展望がよい。しかし、今回の沢コースは大崩山の核心である岩峰があまり見えず、ちょっとコースの選択を誤った感がある。

 鹿納山への縦走にかかる。この縦走路は3時間ほどの藪漕ぎとガイドブックにあったが、現在は刈り払いが進み、歩きやすくなっている。上鹿川から鹿納山へ登る登山者が増えているようだ。鹿納山(鹿納坊主)の岩峰が見えてきた。あの岩山を乗り越すのかと心配したが、岩峰は捲いてピークへはピストンであった。ピークの展望は良好。アケボノとミツバツツジが混在して、点々と山腹を彩っている。シャクナゲも開いている。頑張って、鹿納の野、お姫山を越え五葉岳手前の鞍部でテントを張る。もう6時だ。急いで水を汲みに祝子川源流に下る。20分ほど下って、ヤマシャクヤクの群落の中で綺麗な流れだしに出会った。辛うじて明るいうちに、テントまで戻ることができた。夜、強い風がコルを吹き抜け、テントの中に入ってくる。

 

祝子川本流 

 モチダ谷の滝

 初めてのアケボノツツジ 

渓谷を行く 

 

アケボノツツジ 

 石塚の展望

 大崩山を振り返る

 鹿納坊主

 





岩場のアケボノツツジ 

 鹿納坊主を見上げる 

ミツバツツジ 

鹿納山を振り返る 

 

/4 五葉岳頂上付近はアセビの群落が花盛りである。ここから夏木山までは、台高縦走のような広くなだらかな尾根を歩く。この辺りもキャンプの好適地である。祝子川へ下れば水は得られそうだ。夏木山。ここはアケボノツツジで知られた山らしく、登山者が多い。しかし、今はもう花期は終わっている。大鋸、小鋸の岩稜をハシゴ、ロープで上り、ヘツリ、下りを繰り返して越える。桧山から杉ヶ越まではダラダラ下り。3時、少し早いがここから先に水場はないので杉ヶ越でキャンプ。ここは今回の縦走で最低の鞍部である。水は道路まで降りて岩を流れ落ちてくる水を汲む。これは夏には涸れているかも知れない。

 

 

 霧の五葉岳

アセビ 

 夏木山への山稜

ミツバツツジ 

 

 

 

 大鋸小鋸を行く

 大鋸小鋸の岩稜

大鋸小鋸の稜線 

シャクナゲ 

 

/5 今日は長丁場になりそうなので、4時出発。傾山への登りにかかる。20個あるという岩のピークを上ったり下ったり。なかなか標高1200mを越えられない。登り道なのにハシゴはほとんど下りの側に掛けられている。1200mを越えると急登となり、アケボノツツジの咲くなかをあえぎながら登る。やがて人声が聞こえてくると九折越からの道と合流する。ここまでガイドブックでは3.5時間なのに、5時間以上かかってしまった。傾山の眺望は絶佳。アケボノツツジも多い。祖母への縦走路、九折越で水を汲みに行こうとすると20分はかかるらしく、近くにいた登山者が水を分けてくれた。なだらかな登山道を進み、笠松山で今回最も豪華なアケボノツツジを見る。本谷山を越え一路尾平越に向かって下る。6時、尾平越手前のブナ広場でキャンプ。きれいな水場がすぐ近くにある。今日は一寸歩きすぎか、腰が痛んできた。

 傾山への稜線

 岩峰

 夏木山から杉ヶ越の稜線

 傾山山頂

 山頂からの眺め(三つ坊主)

 傾山から祖母山の稜線

 アケボノツツジ

 山腹のアケボノツツジ

 九折越辺りの稜線

 傾山を振り返る

 笠松山のアケボノツツジ

 笠松山のアケボノツツジ

 稜線の雲

 本谷山辺りの眺め

 アケボノツツジ(本谷山)

 尾平越への稜線

 

/6 痛む腰をだましだまし、古祖母、障子岳を越え祖母山に至り、神原に下り、今回の縦走を終えました。神原からタクシーを呼んで竹田へ出る予定でだったが、下りで一緒になった大分市のご夫妻の車に同乗することができ、大分港まで送ってもらい、その夜のフェリーに乗ることができました。 

 朝焼けの祖母山

 祖母山を望む

 楓の新芽

 烏帽子岩

 天狗岩

 祖母山頂より阿蘇山を望む

 祖母山頂の祠

 神原川を下る

 

縦走の途中であった登山者には大崩山から祖母山まで縦走しているというとみんなびっくりして信じられないという顔をされた。どうも、こんな酔狂な縦走をやる岳人は九州にはほとんどいない印象でした。

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