海谷駒ヶ岳と天生湿原(2013.10)

 今年の秋は会津の御神楽岳に行きたいと思っていたのだがバスの予約が取れず、海谷山塊、焼山、天生湿原の紅葉を見ることにした。

 10月18日(金) 北陸自動車道を糸魚川まで走り、根知から海谷三峡パークに深夜到着。テントを張るのも面倒なので、車中泊とする。

 10月19日(土) 海谷高地(732高地)から上流の登山口を取り、鋸岳と鬼ヶ面山の中間の尾根に上り、駒ヶ岳と周回するつもりで、海谷高地へ向かうが途中の渡渉点でストップ。ネットの記録では靴を濡らさずに渡れるはずだが、今日は膝上の速い流れになっている。ここで足を滑らすと命取りだ。諦めてキャンプ場に引き返し、駒ヶ岳ピストンとする。
 登山口から800m足らずの上りだが、そのうち400mは絶壁の横の急登である。崖の取り付きまで、林道となだらかな山道を辿る。この辺りはまだ紅葉はしていない。
 いよいよ急登にかかる。梯子とロープの連続である。帰りがちょっと心配になる。ふと見上げると、房状の黒い実がスズナリに実っている。あっ、ヤマブドウだ。50年の登山人生で初めての出会いである。荷物を下ろし茂みをかき分けて、実を口に入れる。甘い! 今まで、山で自生する果物で最高に美味いのはサルナシだと思っていたが、これはサルナシと双璧をなすほど美味だ。充分に食べさせてもらう。
 ようやく崖の上に出る。振り返ると眼下に海谷渓谷と出発点の海谷三峡パークが見える。あとは頂上まで紅葉の中のなだらかな道をぶらぶらと歩く。やがて山頂。
 今日は快晴とまではゆかないが、一応晴れ。南の方角に右から雨飾山、金山、焼山、火打山の妙高連山がくっきりと望まれる。初冠雪のようだ。明日、あの焼山に登れるかな。
 すぐ近くに見える鬼ヶ面山までゆこうと縦走路を下りかかるが、あまりの急降下で二、三度滑ってすっかり元気をなくす。そんなわけで今日の登山は駒ヶ岳だけになった。
 帰りは元の道をとって返す。根知に下る道をとってみたかったが、車のところまで帰る道路歩きが大変そうなので断念する。
 明日は海谷まつりのイベントがあるようで、キャンプ場には人が多く集まっている。道路を少し下ったところにある雲台寺に寄ってみる。古刹のようで、今は無住であるが風情のある寺だ。
 糸魚川に帰り食料を仕入れて、明日の登山口の笹倉温泉へ。温泉で今日の汗を流して、近くの広場にテントを張る。

     
海谷渓谷対岸の崖  ヤマブドウ   眼下のキャンプ場と海谷渓谷
     
 頂上からの焼山と火打山(左) 雲台寺   翌日、道路から眺めた駒ヶ岳
 
妙高連山と手前の鬼ヶ面山 

 10月20日(日) 明け方から雨。天気予報では台風が近づいていて回復の望みはない。焼山は今回の山行最大のイベントで、長い林道歩きがあるので自転車まで積んできたのだが。
 予定を変更して、蓮華温泉までドライブして露天風呂に入る。最高に気持ちのよい風呂だ。これはまた別の機会に「温泉」の項に書こう。その後、高浪池、翡翠峡、フォッサマグナミュージアムなどを見学してのんびりと一日を過ごす。岐阜白川へ出て、天生峠の駐車場で車中泊する。

 10月21日(月) 夜中、小便に起きると満月だ。栗名月は九月十三夜らしいが、これはもう十五夜だ。しまった、これなら焼山へも登れたのに。
 6時。車が2台上って来た。同年配の男性で写真が趣味のようで、籾糠山まで行く気はないようだ。
 天生湿原、早朝の人気の少ない紅葉の中の道を辿る。六月に来たときとは全く違う山の雰囲気だ。カラ谷を行く。まだ日が射しておらず陰気な雰囲気だ。この道は帰りにとった方がよかった。カツラ門も葉が落ちている。快晴の中、木平分岐から籾糠山山頂へ。今日の一番乗りだ。今年は天候が不順だったためかブナ、カンバの発色はもう一つのようだ。
 前回は帰りにブナ探勝路をとったので、今日は木平湿原に廻ろう。快晴下の紅葉を満喫した一日でした。
 あとは郡上八幡に寄り、「大八」で今年最後の鮎を食べ、さらに越前大野に寄り道して「黒龍」と上庄の里芋を買って帰りました。
  

     
 天生湿原の紅葉   天生湿原の紅葉  カツラ門
     
 山頂からの眺め    
   
  木平湿原