紀伊半島横断サイクリング

 紀伊半島を横断するルートとしてよく知られているのは和歌山県の御坊と三重県の尾鷲を結ぶR425である。これはR418、R439 と併せて日本三酷道といわれている。
 20年ほど前の2月、これを通ったが紀伊山地を越える牛廻越と大峰山脈を越える白谷トンネルがまだ雪で半分以上押して通った。特に行仙岳の下を抜ける白谷越えでは芦廼瀬川から大峰山腹に上がると雪道となり15キロ程の距離を両足が着くようにサドルを下げて、ソロソロと走ったがそれでも前輪がスリップして、半分は押して進んだ。白谷トンネルの中央部は氷原になっていて自転車を倒して滑らせながら四つん這いになって越えた。その為たいした距離ではないのに二泊三日のサイクリングとなってしまった。

 さて、今回はもう少し北で紀伊半島を横断しようと思い、紀伊山地は高野山、大峰山脈は行者還トンネル(R309)で越えることにした。距離からして一泊で十分だろう。

7月12日(土)
 9時半、海南駅に降り立つ。本当は有田川を遡りたかったのだが箕島駅には特急は止まらないので、今回は貴志川沿いのR370を走ることにする。梅雨どきで水量豊かな貴志川沿って坦々と走る。日差しは肌を刺すように強い。半袖のシャツでは日焼けが心配なのでステンレスメッシュのジャケットを羽織る。
 のどかな田園風景、水田にきれいな水を流してクレソンを栽培している。
 高野山登山口の花坂、標高400mに着く。名物の焼き餅を食べなくちゃ。3個食べて昼飯代わりにする。

     
海南市を出発   貴志川ぞにの農村  貴志川(拡大写真へ)
     
 貴志川 クレソンの水田  花坂の焼き餅 


 坂を上ると、町石道と合流する。ここは何度かハイキングで通った。高野山大門まで約450mの登りだ。暑い、苦しい、心臓がバクバクする。狭心症と違うだろうか。PCIで冠動脈を拡げたら楽になるのかもなどとふと思う。標高634m地点。東京スカイツリーと同じ高さだとの標識がある。海抜ゼロからここまで自転車で登ってくると結構な高さだということが実感される。
 やっと大門に到着する。町へ入り、建築中の中門を眺め、奥の院から桜峠、陣ヶ峰の尾根伝いに天狗木峠に到る。ここが本日の最高地点、標高1000m。柞原から中原川沿いに下ると猿谷ダム湖に架かる中原橋を渡り十津川本流に出て、R168と合流する。

     
R480高野山道路を上る  路傍の町石   高野山大門
     
 建築中の金剛峯寺中門 天狗木峠  天狗木峠の役行者像 
     
 中原橋 猿谷ダム湖  R168と合流 


 少し上流の阪本でR168と別れ天の川を上流に向かう。川の流れが美しい。今日の泊まりの場所を探しながら走るが、川沿いの集落毎にキャンプ場があり、それ以外の場所はキャンプ禁止の標識が出ている。小生の小さなハンモックテント一つにキャンプ代を払うのはちょっと馬鹿らしいので、どこかそっとテントを張れるところはないか。とうとう坪内まで来た。ここは天川弁財天があるところだ。温泉は今日は入浴30分待ちとのこと。一帯のキャンパーが集まってきているみたい。だいぶ薄暗くなってきた。天川村役場のグラウンドが最後の望み。ここのポールにハンモックテントを張る。やれやれ。本日の走行距離95km。

     
R168の大塔橋を振り返る   天の川(拡大写真へ) 天川役場前のグラウンド



7月13日(日) 
 今日は小生71歳の誕生日だ。雨の音で目が覚める。さて、ここから下市に出て帰るか。幸い4時頃には雨は止んだ。5時過ぎに出発する。川合からR309に入り、川迫川を源流に向かう。
 少しずつ高度を上げて、神童子谷出合で標高800m。あと300mで行者還トンネルだ。登りは急になるが涼しく、比較的楽に登れる。7時半、行者還トンネル。オオヤマレンゲを見るための弥山登山者で一杯だ。あれっ、駐車場が有料になっている。整理員がいてきっちり駐車させているので便利になったとも云えようか。

     
川合集落の地蔵  川迫川 (拡大写真へ)  R309
     
 ホタルブクロ 川迫川を遡る  岩ツツジ (拡大写真へ)
     
アマゴ釣り師  稲村ヶ岳 (拡大写真へ) 行者還トンネル 


 トンネルを抜けると約600mの下りで北山川に出る。R169に合流する。これは紀伊半島を縦断する主要道路でよく整備されている。なだらかな下りを気持ちよく走る。火野正平ではないが、まさに「人生下り坂最高」だ。またたく間に上北山村の河合に到着する。

   
R169を快走  眼下の北山川 (拡大写真へ) 河合集落 


 尾鷲に抜けるにはさらに北山川を下り、下北山村の池原からR425に入るのが普通だが、ここは趣向でサンギリ林道を越えて坂本ダムでR425に合流しよう。
 林道が出来る前のサンギリ峠越えは東ノ川遡行のため何度か越えたことがある懐かしい山道だが峠の位置は林道のトンネルの位置とはだいぶ違っているようだ。この尾根を越えるにはもう一つ荒谷峠を越える道があったがこれも一度通ったことがある。いずれも池原ダムが出来る前の東ノ川流域の集落と上北山村役場のある河合とを結ぶ生活道路だった。
 さて林道は谷川を奥に詰め中腹に上がり稜線を目指す。それほどの急登というわけではないが、550mの高度差は老いの身には堪える。それでもシコシコと漕いでいると終りはある。サンギリトンネルに到着。トンネルを越えると坂本ダムへの下りとなる。道路の斜面から落ちてきた小石の散らばる道をソロソロと下ってゆく。傍を流れる渓谷がはっとする程美しい。坂本ダムの上を渡ってR425に合流する。50年前、最初にこの辺りに入った頃にはまだ国道にはなっていない林道でひどく石のゴロゴロした道路だった。大雨のなか、材木を一杯積んだトラックに乗せてもらって、材木の上で必死にロープにしがみついていたことを思い出す。

     
 サンギリ林道  ノリウツギ? サンギリトンネル 
     
 西の谷の渓谷(拡大写真へ) 林道を下る   路傍の砂礫
     
坂本ダム  ダム堰堤よりサンギリ峠を望む   ダム湖


 ここまで来ればもう尾鷲は近い。ダム横の平らな道を走る。目の前に銚子・不動の二段の滝が豪快に落ちている。しばらく走ると隠れ滝の標識、ちょっと寄ってみるとこれも見上げるほど高い立派な滝だ。
 八幡トンネルの手前で突然、通行止めのゲートが現れる。土砂崩れの工事のためらしい。これまで予告の標識はなかった。急にそんなこと云われても困る。ここから引き返して迂回するとなると今日中に大阪に帰れるかどうかおぼつかない。まあ自転車なら何とかなるだろうと、ゲートの脇を通り抜ける。
 八幡トンネルを抜け、道路工事(今日は休日で誰もいない)の脇を通り抜け一路尾鷲を目指す。高度が下がるにつれだんだん暑くなってきたぞ。又口川から坂下トンネルを抜けるともう尾鷲の町だ。1時、尾鷲駅到着。走行距離85km。

     
銚子滝(上)と不動滝 (拡大写真へ) カクレ滝 (拡大写真へ) 通行止め 
     
 八幡トンネル 又口川発電所  尾鷲に出た 


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