奥秩父縦走 ー雲取山から金峰山ー

(2014 May)
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奥秩父は関東の山なので、関西人の小生は数えるほどしか登っていない。最初の思い出は45年ほど前、3月末か4月初め、東京出張の帰り、西沢小屋に一泊して次の日東沢へ乗り越して所々氷の張った長いナメを通り両門の滝を越え、残雪の沢を一歩一歩ステップを刻みながら甲武信小屋に辿り着いた。当時アイゼンは持っていなかった。無人の小屋で寒い一夜を過ごして山頂も踏まずに雁坂峠から下山した。その後、金峰山、瑞牆山などは登っているが、東の方には縁がなかった。今回、一気に片付けようと縦走することにした。

5/14 奥多摩駅を出発して、石尾根の広くなだらかな道をのんびりと登る。六ッ石、鷹ノ巣などのピークを経て、少し早いが七ッ石小屋に泊まる。小さな小屋で若い小屋番が常駐しているが経営が成り立つのだろうかと心配になるくらいだ。自炊のみ。

     
 新緑のなかの石尾根 山ツツジ  バイカオウレン? 
     
 石尾根 鷹ノ巣辺り  ヤマザクラ 七ツ石小屋 


5/15 一日雨。雲取のピークを踏むも深い霧の中で特に感想は無し。少し下ると、笠取峠まで続く長い長い捲き道が始まる。この道は東京都水道局が多摩川水源管理のために作った道らしく全くピ−クを踏まない。雨の中、単調な道をひたすら歩く。飛龍の手前であった登山者を最後に4日後の金峰山まで路上では全く登山者には出会わなかった。この登山者は甲武信小屋まで行ったが国師ヶ岳までの縦走路の雪が深いのにアイゼンを持っていないので雲取まで引き返しているとのこと。えっ、この長い縦走路を引き返すの? 途中で下山すればいいのに。
 将監峠で道を間違えた。捲き道とばかり頭に入っていたので地図を見ずに平らな道をとったのだが南下する下山路だった。急降下しだしたので気がついたが、引き返す気もせず縦走は中止と覚悟を決めたが、標高1500m位のところにもう一本、上の登山道と平行に走る水道局の巡視路があった。巡視路の途中でツエルトを出して悲惨なビバーク。一人用の窮屈なツエルトの中では火をおこす気もせずエナジーバー一本の夕食。

     
霧の中の雲取山頂   飛龍辺りの捲き道 巡視路 多摩川源流 



5/16 4時出発。快晴。黒えんじゅまで登り返して、笠取小屋。ひっそりとしていて、開放小屋もないようだ。昨日ここまで来ても結局、軒の下のビバークだったか。ここからは多摩川の水源を離れるため、縦走路は丁寧にピークを踏んでゆく。水晶山を越えると雁坂峠、ひっそりとしている。東破風山の登りあたりから路上に残雪が現れ、歩きにくくなる。甲武信小屋までの捲き道でまた苦労。小屋はまだ深い残雪のなか。大きい小屋だが同宿者2名。夕食はカレーで一泊二食8,000円。アルプスなどに比べるとちょっと高い感じだが、小屋を維持するためにはやむを得ないか。

     
雁峠  水晶山からの富士山  雁坂峠から見た雁坂嶺 



5/17 コース一番の難所、国師ヶ岳までの縦走路を目指す。出来たら金峰山の小屋まで行きたい。今年は異常に雪が多かったらしく、まだ残雪も深い。GW以来、誰も通っていないようで踏み跡もほとんど残っていない。目印のテープも少ないし、倒木も多い。尾根筋の縦走なので致命的に迷うことはないが、コースから外れてブッシュに苦労する。GPSに入っている地図の破線路が正確で助かる。日が高くなるにつれて雪が腐ってきて、ズブズブと深いところでは太ももまで入り、軽アイゼンが効かなくなってきた。コースタイムの倍以上かかり、国師ヶ岳を越えてようやく大弛小屋に到着。無人だが開放されている。

     
甲武信ヶ岳の登りからの富士山  甲武信ヶ岳の登り   甲武信ヶ岳山頂
     
縦走路から国師ヶ岳を眺める  縦走路  国師ヶ岳山頂 



5/18 雪の堅いうちにと早朝出発して金峰山を目指す。時々コースを外れてシャクナゲのブッシュや岩場に突き当たるが大したこともなく9時前山頂到着。雲一つ無い快晴で富士山がくっきり。やはり奥秩父では金峰山が一番だ。登山者が続々登ってくる。岩に腰掛けて縦走最後のピーク、小川山を眺めて行く気が失せた。まだ先は長いし、黒々とした樹林帯の下には残雪がたっぷりありそうだ。それに第一、それほど魅力的な山には見えない。というわけで、富士見平に下山してその日のうちに帰阪した。

     
 オオシラビソの小枝  富士遠望 五丈岩(金峰山頂) 


この山旅で、つくづく歩く速度と体力の衰えを実感した。雪中はともかく、雪のない道でもガイドマップのコースタイムからはるかに遅れるようになってきた。

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