続四国サイクリング-吉野川源流と四国カルスト
(2014.05.02〜05)

 ゴールデンウィークに囲炉裏村の仲間と大峰を縦走する予定が中止となり、時間が空いた。それで四月の四国横断で行きたいなと思った場所や、行くのを断念したコースをつないで走ることにした。具体的には、R439からはずれた早明浦ダムから上流の吉野川源流、登る元気がなかった四国カルスト台地、ゆっくり見ることの出来なかった檮原の町、最後に外れてしまったR439の最後の部分、中村までを走れば2、3泊のコースとなるだろう。

 5/2(金)  伊賀上野での仕事が終わって急いで帰り、新大阪6時の新幹線に乗る。連休前夜とあって混雑している。自転車の積み下ろしに一苦労する。近頃の旅行者はみんな海外旅行にでも行くかのように大きなスーツケースを持っている。ゴールデンウィークに輪行するなんて馬鹿だった。ジパング倶楽部の割引もきかないし。
 10時過ぎ、土讃線大杉駅下車。自転車を組み立て、駅のベンチで寝る。この前、駅で寝たのは郡上八幡駅だったから5、6年前か。幸い近くにコンビニがあるので、寝酒が飲める。

 5/3(土) 6時出発。早明浦までは前回のR439を走る。途中、本山のコンビニで朝食。まだ先に店があるだろうと、ここで昼食を仕入れなかったのが大きな失敗。
 R439と別れて、県道−−に入るり、急坂を登って早明浦ダムの上に出る。満々と水を湛えていて美しい。山フジ、ツツジ、シャガなどの花が路傍を飾る。湖畔の道は平らで快調に走る。ダム湖畔に大川村役場のある集落に出るが小さなものだ。休日の朝とあって人影も少ない。

     
土讃線大杉駅  早明浦ダム   湖畔のシャガの花
     
 早明浦ダム湖 山ツツジと白い花(?)  路傍の小滝 


 やがて、早明浦ダムの湛水域が終わり、美しい吉野川の渓谷に沿ってなだらかな登りを走る。対岸の岩壁に沿って古い歩道が続いている。今は草木に覆われているがもとは荷車ぐらいは通れたのだろう。岩をくりぬいたトンネルもある。昔、吉野川上流の人は一日以上かけて下流の本山の町まで買い物に歩いたのであろう。岩壁の間を流れるコバルト色の流が美しい。岩には甌穴が見られる。
 大橋ダムに上がるとR194に合流する。R194は愛媛県西条から寒風山トンネルで石鎚山脈を抜け高知県の伊野に抜ける。長沢集落に入る。ここはもと本川村(現在いの町)の役場のあったところでこれより吉野川源流にはもう大きな集落はない。老人夫婦がいたので食料品店の場所を訪ねると、橋を渡ったところにJAストアがあるとのこと。しかし、今日は休日かもしれないと首をかしげる。他には店はないとのこと。いってみると案の定閉まっている。これから1500mまで登らなければならないのに食料がない。ベンダーでファンタなどカロリーの高そうなジュースを2本ほど買う。これで何とかなるだろう。このとき先ほどのご老人が現れて、これを食べなさいと寿司と饅頭の弁当を渡してくれた。これはありがたい。代金を払うと申し出たが手を振って去って行った。これは多分ご夫婦の昼食だったのだろう。さすがに四国遍路の地だ。お接待を受けたのだ。南無大師遍昭金剛、お二人に良い後生がありますように。
 R194と別れて吉野川源流へと向かう。長沢ダム湖畔を走る。越裏門(えりもん)という何かいわれのありそうな名前の集落。国重文の山中家住宅を訪ねる。外観だけであったが、何ということもない古民家だ。屋根などだいぶ傷んでいる。
 更に清流に沿って進んでゆくと正面の山の中腹に数軒の家が見える。あれが最奥の集落、寺川だ。民俗学者・宮本常一の「土佐寺川夜話」の舞台である。是非寄ってみなくては。白髪神社の脇から林道を上ってゆくと数軒の集落に出る。路上の人に聴くと現在寺川は十軒足らずとなっているらしい。宮本常一については知らないようであった。
 神社まで下って、おせったいの弁当をいただく。美味しい。十名ほどのサイクリストがロードバイクで上ってゆく。

     
岩壁の古い歩道   吉野川の澄んだ淵  甌穴群
     
大橋ダム堰堤から見下ろす  越裏門の山中家住宅  山腹の寺川集落
     
寺川   御接待の弁当を頂く  吉野川と別れる


 さて、小生も登りにかかる。ここから石鎚山土小屋まで750mの登りだ。年相応にトロトロと登ってゆく。よさこい峠で稜線に出る。この辺りところどころにアケボノツツジが咲いている。土小屋、標高1500mに到着。ソフトクリームを嘗めて一休み。
 石鎚スカイラインを石鎚山頂を眺めながら面河まで下る。下り一方かと思ったら山腹を縫っての上り下りが長々と続く。面河渓入り口はシーズンオフなのかひっそりとして人気が無い。店などもすべて閉まっている。新緑の美しい時期なのに。少し上流に向かって走って渓谷に架かる橋まで行く。夕暮れの渓谷は物寂しい。
 もう5時だ。何とか食べ物が仕入れられるところまで行かないと。面河川に沿ってぶっ飛ばす。といっても時速30キロぐらいがせいぜいだが。
 七鳥。食堂の看板がある。酒屋もある。ここら辺が適当だろう。酒屋に入って聞くと、食堂はやってないらしい。やむを得ず酒と缶詰、朝食用のパンなどを仕入れ、教えてもらった神社の境内にテントを張る。集落の少し奥まったところにある河崎神社で、車の音も聞こえず静かである。

     
アケボノツツジ  土小屋近くからの石鎚山  これはミツバツツジ 
     
 面河渓谷 面河渓谷  河崎神社 


 今日の走行距離130km。

5/4(日)今日も快晴だ。少し下ると御三戸、R33と合流する。昨夜の七鳥よりここの方が少し大きい。ここで泊まった方が良かったか。
 大川嶺への登り口がある。頂上まで1,100mの登りだ。パスして四国カルストに向かうかどうか迷う。登ってもたいした景色ではないような気もするが、登らないと心残りになるだろう。エーイ、登ったれ。上は牧場のようだからレストランぐらいあって牛乳とかアイスクリームぐらいあるかもしれない。
 トロトロと登りにかかる。今日は中腹のスキー場でラリー競技があるらしくスポーツカーが次々と登って行く。競技コースと走る道がオーバーラップしてなければいいが。棚がずらっと並んだ広場がある。寒天の製造場所かな。
 美川スキー場。今は跡かな。テントが沢山張ってあり、車と人が群れている。アッ、何か食べられるかな。聞いてみるとみんな車の整備ピットで食べ物は売ってないとのこと。有名なラリー競技のようだ。ただ、競技は林道を走るとのことで、オーバーラップせず一安心。
 山頂まであと500m。だんだん苦しくなってきたぞ。
 ようやく頂上の平原に到着。1500m。茫茫としていて、何もない。まだ時期が早いのか、牛も放牧されていない。まあ、それなりの風景ではあるが、わざわざ自転車で苦労して登ってくる程のことはなかったか。

     
路傍のフジの花  大川嶺山腹を登る  寒天乾燥場? 
     
美川スキー場(ラリー会場)  山頂が近づいてきた   大川嶺高原


 南側の茗荷谷川へと急降下。スピ−ドは出せない。茗荷谷川に沿って行くとR440に出会う。R440は改修されて、四国カルストをトンネルで抜けるようになり交通量も多い。R440の旧道に入り地芳峠に上る。GWのためか、対向がやっとの狭い道路に観光客の車がひっきりなしに上下する。ツーリングのオートバイも100台くらいは上っていった。へー、知らなかった。大変な人気の観光地なんだ。
 地芳峠まで約600mほどの上りだ。東へ尾根伝いに姫鶴平へ。石灰岩のゴロゴロするカルスト地形が現れる。日本三大カルスト(秋吉台、平尾台と)の一つだが、秋吉台ほどのスケールはない。高度は一番らしいが。観光客が多い。私的には面河渓の方が見どころが多いと思うが。五段城までの急坂は少し押して行く。1455m。しばらく笹原の中の遊歩道を散歩する。国民宿舎でやっと昼食にありつける。

     
R440より仁淀川支流を見下ろす   地芳峠 大川嶺と展望する 
     
 姫鶴平 カルストの石灰岩  五段城から天狗高原方面を見る 


 南へ下り、山腹を縫う林道から檮原川源流から檮原の町に入る。
 四月、檮原に寄ったときにはゆっくり見物する時間がなかったが、今回は三嶋神社、竜馬の道、六志士の墓、茶堂、維新の門などの名所をくまなく廻る。特に維新の門の志士の群像は印象的だ。テント場を探してしばらくウロウロしたが、町中の廃校となった小学校の運動場にテントを張る。夜は町の居酒屋で、観光で訪れていた女性二人と一緒になりいろいろ話が弾む。カツオの刺身が旨い。女性たちの酒の強いこと。付き合いきれない。先に失礼する。
今日の走行距離 80km

     
檮原川源流  竜馬脱藩の道  三嶋神社御幸橋 
     
檮原の町  茶堂  維新の門・志士群像 



 5/5(月)今日は雨、それほど激しくはない。雨具を着けて、終点の中村を目指して走り出す。檮原川に沿う県道26には人家がほとんど無く、蕭々と降る雨の中寂しさに満ちている。
 やがて、R439と合流する。ここから中村までR439を辿れば、四月の四国横断サイクリングと併せて、ほとんどR439を完走できる。烏巣の駄馬という変わった地名の集落。立派な茶堂があり、その傍らに鄙まれのパン屋がある。一休憩してピザパンを食べる。なかなか美味しい。
 雨の中、ひたすら檮原川に沿って下ってゆく。土佐大正で檮原川は本流・四万十川に合流する。ここは二十年ほど前四万十川遡行サイクリングで通った。レトロな町中を少し走る。土佐大正からR439は山中に入り杓子峠へと登って行く。雨は止んだ。杓子峠まではなだらかな登りでスイスイと走れる。
 杓子峠からは中村までは何ということもない走りだ。昼頃には着いてしまった。町外れの銭湯で汗を流して今回のサイクリングはお終い。
今日の走行距離 85km

     
檮原川に沿って下る  烏巣の駄馬の茶堂  R439を走る 
     
 土佐大正の町  檮原川が四万十川本流に合流 R439(杓子峠への登り) 
     
 杓子峠 杓子峠を下った処の集落・住次郎  土御門上皇配流の地 


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