沖ノ山林道サイクリング −残雪深し−

 先日、魁猿と兵庫県と鳥取県の県境にある三室山に登り、大通峠に出て三室高原までの林道(大通・中江林道)を下った。このときはまだ大分残雪があったが雪がなくなったらこの道をサイクリングしたいと思った。
 帰ってから地図で計画を立てると、三室高原を出発して、千種高原から峰越峠を越えて岡山県に入り、国道373に出て志戸坂トンネルを抜けて鳥取県に入り、智頭の手前で芦津渓谷、沖ノ山林道から大通・中江林道と周回すれば一日コースとしては適当な距離と獲得高度になりそうだ。

4月26日 早朝、三室高原まで車で輪行する。

 8時、三室高原の駐車場をを出発。寒気が厳しいが、快晴である。千種川本流出合まで下って、本流沿いに千種高原へと上る。体がまだ自転車モードになっていないので登りに音を上げる。渓流は美しい。まだ桜も残っている。

   
出発点−三室高原  千種川 鍋ヶ谷渓谷
   
名残のさくら   源流近し


 450m程上って千種高原到着。クリンソウの咲く湿原の案内図があるので、少し散歩する。しかし、まだツボミの気もない。快晴で段々暖かくなってきた。少し上がるとスキー場の施設がある。ここは以前、山仲間とハナビラタケを探しに駒の尾山に登ったときに来たことがある。素通りして峰越峠への登りにかかる。きれいな舗装道路を100m上ると峠だ。道路脇には残雪が現れる。

   
 湿原のミズバショウ  クリンソウはまだ見えない

 
 峰越峠の残雪


 峠を越えれば岡山県だ。少し下るとダルガ峰林道の入り口がある。ダルガ峰から駒の尾山にかけての山腹を走る道で、心が動くが今日は先が長いので諦めてまっすぐに下る。下れば吉井川の支流・吉野川の源流だ。大茅の集落を過ぎてしばらく快適に走ると、R373に出る。ここはもう鳥取県との県境、志戸坂トンネルの入り口だ。長さ1.6kmのこのトンネルは鳥取へ抜ける高速道の規格であるので、車道を走るのは怖い。他に道路はないので、あまり広くもない歩道を走らざるを得ない。ソロリソロリと走ってゆく。こんなときにはMoon X-300の強力な光が本当に心強い。
 トンネルを抜け、旧R373を下ってゆく。ここは智頭往還といって山陽と山陰を結ぶ重要な街道の一つであった。ここは一昨年の秋、日本やまんなか縦断バリエーションで走った。今回は智頭の町の手前で千代川支流の北俣川へと入ってゆく。いくつかの集落を経て最後の芦津を過ぎたところに料理屋がある。ここの売店でとち餅を買って昼飯代わりにする。しばらく走り山が迫ってくると芦津渓谷だ。川沿いには芦津渓谷の遊歩道があるが、林道は川を離れて一度山に登る。この辺りが今回の一番の急坂だ。少し下って川沿いの小さな三滝ダムにでる。

   
 智頭往来古道 千代川上流 
   
郷原の里  虫井神社 
   
路傍のさくら  芦津渓谷
   
山笑うかな?  芦津渓谷の山々 


 アレッ、まだ雪が残っている。はじめは道路脇だけだったが段々道を塞いできた。走ったり、押したりで進んできたが、とうとう全面的に雪に覆われた。これでは押してゆかざるを得ない。幸い雪が締まっているのでサイクリングシューズで歩いていてもそれほど深く潜ることはない。しかし、下半身はびしょびしょに濡れた。

   
 残雪が現れる 渓谷源流部 
   
   
   
   
   
 ネコヤナギ 峠近し 


 ようやく峠に出た。峠を越えると日当たりがよいのか、雪は消えた。山腹の下り坂は落石、倒木でまだ自動車は通れない状態であるが、下るにつれて状態はよくなり快適に走れるようになる。
 岩谷堂へ下る道と分かれて大通峠へと上り返しの道に入る。この道は県境尾根から北へ伸びる支尾根を乗り越すのだが、これを大通峠と勘違いした。先日通った峠と少し違うような気がしたが、地図を確認するのを怠った。どうも段々ものぐさになってきているようだ。本当の大通峠は少し下ったところからもう一度上り返さなければならないのだが、そのまま加地川の沿って下ってしまった。もちろん途中で気がついたが、加地川の渓谷が素晴らしいのと、余りの激下りだったので引き返す元気を失って、とうとうR29まで出てしまった。

   
林道沿いの残雪   県境支尾根のくらます峰
加地川の渓谷は写真を取り忘れました。ここは秋にでも再訪するつもりです 


 さあ大変。車の所まではあと50kmは走らなければならないのに、時刻はもう4時半だ。必死に戸倉トンネルまで300mを漕ぎ上がる。トンネルを抜けると波賀町中心部までは揖保川沿いに大体下り勾配だ。普段はのんびり走るのが好きな小生だが、今回はどんどんぶっ飛ばした。波賀でR429 に入り、薄暮の道を鳥ヶ乢トンネルを越えて千草の町まで帰ってきた。もうとっぷりと暮れている。
 ここからタクシーで車を取りに行こう。タクシー会社に電話すると、一台しかないタクシーの運転手は今日は仕事が終わりだと夕食に酒を飲んでしまったとのこと。泣く泣く最後の10kmの登り道をこぎ上がる。車に辿り着いたのは8時、立っているのがやっとだった。
走行距離124kmはたいしたことないが、獲得高度2700mは小生の新記録だ。

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