最果ての大地 −パタゴニア− (2) トーレス・デル・パイネ国立公園 (チリ)
パイネ(拡大図へ) |
1/26 銀行で口座を作り日本から送金してもらおうと考え、銀行へ行ったが個人旅行者が口座を作るのはダメだと判った。ウェスタン・ユニオンを使えばよいとアドバイスされたが、その時は意味がよく判らなかった。しかし、ATMで250,000チリペソ(約5万円)引き出せた。この調子でチリペソを貯めて、最後にアルゼンチンに入る前にドルに交換してもらえば何とか生き延びられる。やれやれ。この際、交換レートの損得などは云っておられない。
2時半のバスでトーレス・デル・パイネ国立公園に入る。公園入り口で入場料を払い、レンジャーから入山心得を聞く。二人以上で行動するようにと言われる。恐る恐る単独行はダメかと聞くと、若いお姉さんはため息をついて、「どうして独りなの? でも私たちにそれを禁止することは出来ない」と言う。ではOKなんだ。
実は下車するバス停の名前を覚えていなかった。何となく終点まで乗るものと思い込んでいた。終点まで来てみるとそこはアドミニストレーションセンターで全然違うところだ。公園入り口から最初のバス停「アマルガ小湖」で下車しなければならなかったのだ。そのまま帰りのバスに乗って予定のバス停で下りる。だいぶ時間のロスだ。しかし車窓から見るパイネ山群は息を呑むほどのすばらしさだ。これが見られたのでまあそれほど損をした気にはならない。アマルガ小湖で下りてミニバスに乗り換えてラス・トーレス小屋に着いたのは7時過ぎ。まだ明るいが予定のチレーノ小屋までは2時間かかるので諦めてここのキャンプサイトにテントを張る。広々として気持ちのいいキャンプサイトだ。ここまでは車が入るのでオートキャンプのテントが点々としている。有料だが炊事場はお湯が出るし、シャワーもついている。売店で1リットルのボックスワインを買って半分飲みながら、夕食を摂る。
車窓より(トーレス) (拡大写真へ) | 車窓より(バス道) | 車窓より(クエルノス) (拡大写真へ) |
車窓より(パイネ・グランデ) (拡大写真へ) | 車窓より(パイネ大滝) (拡大写真へ) | トーレスキャンプ場 |
パイネの歩き方には図のようにパイネの南半分の景観を楽しむWコースとそれを更に延長してパイネ山群を一周するサーキットがある。サーキットは100キロ以上あるので高低差は小さいとはいえかなりの強行軍となる。初めからサーキットを廻る人たちは反時計回りに廻るみたいだが、私はとりあえずWコースを左の軸の先、グレイ氷河まで行って余力があるようならサーキットに入ると決めているので必然的に時計回りになる。
1/27 目覚めると雨である。小雨ではあるが、今日の予定、トーレス展望台に上っても何も見えないだろう。1日停滞と決める。ところが明るくなるにつれて雨が止み、青空が見えてきた。あわてて出発する。テントはそのままにして、今日は空荷でピストンだ。
キャンプ場を出てしばらく平原の道を行くとラス・トーレスホテルが見えてくる。国立公園内で最高級のホテルらしい。
草原を野ウサギが跳ねている。おや、ここにもキツネがいる。人を見ても全く動じない。悠悠と歩いている。路上でイヌと同じ格好で排便している。近づいてみると強烈に臭い。 アセンチオ渓谷を遡ってゆくとチレーノ小屋が見えてくる。ここがバックパッカーに人気のキャンプ場のようだ。谷沿いにレンガの深林の中を登ってゆくと、トーレスキャンプ場、ここから山腹を急登すると小さな氷河湖、その向こうの大きな岩壁、そのうえに3つの岩峰が現れる。思わず息を呑む光景だ。岩峰の姿はフィッツ・ロイと甲乙付けがたい。2時間ほど座り込んで雲が完全に切れるのを待ったが、残念ながら3つの峰が完全に晴れ渡るのを見ることは出来なかった。岩峰の上を悠々と飛翔しているのはコンドルだろうか? 右の岩山は「コンドルの巣」という。
キャンプ場に帰り、トーレス小屋の売店を覗いて、まるちゃんラーメンとサラダのレトルトを買って、昨夜の残りのワインで夕食とする。
ラス・トーレスホテル(拡大写真へ) | ウンチングスタイルのキツネ | ウサギのジャンプ |
チレーノ小屋を望む (拡大写真へ) | レンガの寄生植物 | トーレスキャンプ場 |
トーレス・デル・パイネ (拡大写真へ) | 飛翔するコンドル?(拡大写真へ) | まるちゃんラーメン |
今日の行程は片道10キロ、往復で20キロだった。
1/28 今日は晴れだ。朝焼けが美しい。
7時30分、出発。周りのテントはみんな寝静まっている。どうもこちらのハイカーは朝が遅いようだ。マタバロッサというセリ科の花が咲く草原の中の坦々とした道を歩いて行く。赤い花を付けた灌木はファイヤーブッシュと言うらしい。ツリバナみたいな赤い花はチルコと言うらしい。乗馬のかっこいいガウチョに出会う。
しばらく歩き、岡を越えると前方にクエルノス・デル・パイネ(パイネの角)の奇峰が現れる。下はノルデンスクジョルド湖が広がる。
昼頃、クエルノス小屋に到着。ここでランチパックを買う。でかいサンドイッチと、水、クッキー、オレンジのセットである。
2時過ぎ、イタリアーノキャンプ場に到着。ここはWの中央軸、ブリタニコ展望台への登山口であり、しかも無料のキャンプ場とあって一杯のテントが張られている。漸く場所を見つけて小さな我がテントを張る。ブリタニコ展望台へ向かおうとすると、レンジャーから今からだとここから1時間ほどの氷河展望台までしか行っては駄目だと云われる。ブリタニコ展望台までは上り3時間、下り2時間として、8時までには帰ってこられるのに。まあ、レンジャーの云うことは聞いておこう。
氷河展望台も正面にパイネ・グランデから流れ落ちるフランセス氷河が正面にそびえ、後ろにはクエルノスの岩壁が覆い被さって、なかなか雄大な眺めだ。暖かい日射しの中でノンビリと景色を楽しみながら過ごす。時々、大音響と共に雪崩が起こる。
草原の道 (拡大写真へ) | マタバロッサ (拡大写真へ) | ファイヤーブッシュ (拡大写真へ) |
チルコ (拡大写真へ) | ガウチョ (拡大写真へ) | クエルノス (拡大写真へ) |
ノルデンスジョルド湖 (拡大写真へ) | クエルノス小屋 (拡大写真へ) | イタリアーノキャンプ場 |
フランセス氷河 (拡大写真へ) | 岩壁を落ちる雪崩 | 眼下のノルデンスジョルド湖 (拡大写真へ) |
パイネの辺りで南緯50度ぐらいだから、北緯だったら樺太辺りになるので相当寒いかと思ったが、やっぱり夏山でだいぶ暑い。Tシャツ、ショートパンツで歩いているハイカーも多い。
10時くらいまで明るいのでキャンプ場は11時過ぎまでガヤガヤと騒がしい。
ブリタニコ展望台まで行けず、Wの中央軸が短くなったのが心残りだが、明日は先を急ごう。
今日の歩行距離は20キロ。
1/29 8時出発。テント群はまだ静かである。
パイネ・グランデの岩壁が朝日に赤く染まる。
しばらく歩くと、一面の樹林帯が枯れている。よく見ると森林火災のあとだ。数年前、ハイカーのたき火の不始末から起きたらしい。今日は穏やかな日和だが、この辺りはほぼ毎日風速10m位の強風が吹いているところで、一旦火災が起こると手が付けられないようだ。この火災のあとはグレイ小屋あたりまで続いていた。今はレンガの苗木が育ちつつあり、何十年か後には以前のような樹林帯に戻るのであろうが、大災害といえるだろう。国立公園内はたき火禁止で違反者は刑事罰が科せられるようだ。
上り下りの少ない湖岸の道を歩いて行く。路傍にはラン科らしい花を始め、いろんな花が咲いている。ジギタリスらしい花も見かけるが、これは外来植物かな。
3時間ほどで、パイネ・グランデ小屋に着く。ここはペホーエ湖を渡る双胴船が着くところで、トーレス・デル・パイネと共にパイネ登山の基地となっているところだ。この辺りになると日帰りで遊びに来ている人も多いようだ。
小屋は立派なものでレストラン、売店も付いていてハイカーで賑わっている。
これからWの左軸、グレイ氷河が望めるグレイ小屋を目指す。
丘を越えてグレイ湖沿いに道は続く。湖には氷が浮かんでいる。200m程の丘を登るとグレイ氷河とその上の大雪原が見えてくる。これも凄い眺めだ。
グレイ小屋まで10km、いやになるほど長い。4時、やっと小屋に到着。本来、ここから先に進むには午後3時までに入らねばならない。パイネのトレッキングコースにはコースに入る時間制限が設けられている。次のパソ(峠)キャンプ場までは6km、5時間のコースタイムである。ちょっと厳しいが出来るならば標高差700mのジョン・ガードナー峠越えを朝一番に片付けたい。頑張ろう。
門限があっても、誰が見ているわけでもないので、いよいよサーキットコースに入る。道はとたんに悪くなり、本格的な山道となる。
ガレ場の長いハシゴ。しっかりしたパイプ製なので危険はないが気持ちよくはない。
高度が上がるにつれ、グレイ氷河の上部の大雪原が広がって見えるようになる。
頑張って、9時前にパソキャンプ場に到着する。コースタイム通りだ。
パイネ・グランデの朝焼け (拡大写真へ) | 森林火災の跡 | クエルノスを振り返る (拡大写真へ) |
パイネ・グランデ小屋遠望 (拡大写真へ) | ハイキングの少女 | グレイ湖 (拡大写真へ) |
グレイ氷河遠望 (拡大写真へ) | グレイ小屋付近 | 吊り橋を渡る |
谷間より見た氷河 (拡大写真へ) | ハシゴを登る (拡大写真へ) | グレイ氷河 (拡大写真へ) |
急いでテントを張って、夕食の準備をする。今日は日本から持参のアルファ米とフリーズドライのカレーだから、湯を沸かすだけだ。ブヨがたかってくる.。氷河の上の山腹だというのにずいぶん暖かい。
夕食時、フランス人の若いカップルと話す。フィッツ・ロイで私を見かけたという。昨夜のイタリアーノキャンプ場でも一緒だったというが、覚えていない。私が「出来たら明日はここまで足を伸ばすつもりだ」と話したので、彼らも頑張ったという。そんな話したかしら? 大学を卒業したばかりのハンサムな男の子とキュートな女の子で半年間中南米を回っているとのこと。「一緒に半年も旅行して、ハッピーなの?」と尋ねると、一緒に「ハッピー」と答える。意地悪く、「フランスへ帰ったら、仕事はあるの?」と聞くと、ちょっと黙った。
この日見た鳥と花 | ||
ミナミカラカラ | ハヤブサ? (拡大写真へ) | アカバナエスカロニア |
? | ? | マゼラニックオーキッド |
ジギタリス? | 引っ付き虫 | ? |
今日の歩行距離は24km。後半は上りの悪路だったのできつかった。
1/30 7:30出発。しばらくはレンガの樹林帯の中を歩くが、樹林帯を抜けると本格的な登りにかかる。眼下にグレイ氷河が広がる。実に雄大な景色だ。
11時前、ジョン・ガードナー峠に到着。標高1200m、今回のパタゴニアの旅の最高地点だ。700mの登りに3時間、昨日の疲れが残っている。しばらくして、フランス人カップルと中年のアメリカ人の男が登ってきた。やはりだいぶ速い。今日のサーキット時計廻りは4人だけのようだ。ペロスキャンプ場を出発してきた反対廻りのトレッカーが続々と登ってきた。
グレイ氷河に別れを告げて、東へと下り出す。下方にペロス氷河の氷河湖が白く光っている。そこに向かって広い谷が緩やかに下っているように見えるが、実際にはなかなか岩だらけの道で難路と言える。景色が大きすぎて、錯覚に落ち入っていた。
2時半、ペロスキャンプ場。まばらな林の中、日当たりのよい気持ちいいキャンプサイトだ。大体有料のキャンプサイトには設営済みの貸しテントがあり、マット、シュラフの貸し出しもあるとのこと。簡単な食料も売っているのでほとんど空荷でも歩くことが出来るようだ。ちょっとここで一泊したい気になるが、先へ進もう。
少し進むと右手にペロス氷河が落下している。
道はペロス川に沿ったレンガの深い樹林帯の中を進んでゆく。泥炭地のドロドロのぬかるみ道を通り抜け、渓流を渡り、尾根道を歩いて、6時過ぎ漸くディクソン小屋に到着した。
峠への登り (拡大写真へ) | ? (拡大写真へ) | 峠からグレイ氷河を振り返る (拡大写真へ) |
フランスのカップルと | 反対側から登ってくるトレッカー (拡大写真へ) | 白く光るペロス氷河湖 (拡大写真へ) |
Puma氷河 (拡大写真へ) | ? | ペロスキャンプ場 |
ペロス氷河 (拡大写真へ) | ジョン・ガードナー峠を振り返る (拡大写真へ) | ペロス渓谷 |
レンガ(南極ブナ)の深林 | ディクソン小屋への道 | パイネ山群を望む (拡大写真へ) |
ディクソン湖 (拡大写真へ) | ディクソン小屋キャンプ場 | ディクソン小屋周辺 (拡大写真へ) |
もう小さなテントにもぐり込むのはうんざりだ。小屋に泊まろう。ついでに夕食も頼む。部屋は二段ベッド2つの四人部屋がいくつかあるようだが、小屋泊まりは私一人だ。綺麗なシーツで気持ちよい。もう4日もシャワーを浴びていないので体がむずむずする。シャワーでさっぱりする。夕食はたっぷりのポークチョップだ。どうやってこんな山奥へ食料を運ぶのだろうと思ったが、どうやら車の通る道がトレッキング道の対岸にあるようだ。
快適に眠る。
本日の行程は21km。
1/31 今日は行程が長いので、6時半に出発する。
ディクソン湖から流れ出したパイネ川によって開かれた大平原の中の道をひたすら歩く。途中で小雨となり、雨具を付ける。やがてフランス人カップルに追いつかれる。彼らは今日中にチレーノ小屋まで行くとのこと。先行する彼らに別れを告げる。
幸い雨は1時間ほどで止んだが、パイネ湖畔の山腹を行く道で今度は強風に襲われる。追い風で助かったが、それでも体がフラフラするほどの風だ。この辺りではセロンキャンプ場を出発したトレッカーとすれ違う。全部で100人ぐらいはいただろうか。
パイネ山群から北東に張り出した尾根を回り込むと風は穏やかになった。道は南へと向かい、しばらく行くとセロンキャンプ場だ。この辺り牧場跡のようで、今は見渡す限りマーガレットの白い花で埋め尽くされている。
平原の道を黙黙と歩く。トーレス・デル・パイネ小屋までは一山越えなければならない。250mほどの登りだが、足が痛む。山を越えてしばらく下ると、やっと小屋やホテルの建物が見えてきた。
もうテントを張る元気はない。小屋に転がり込む。
ディクソン小屋を去る (拡大写真へ) | 平原の道 (拡大写真へ) | カップルに追いつかれる (拡大写真へ) |
草原に消えゆくふたり | ディクソン湖方面 (拡大写真へ) | パイネ湖の流れ込み (拡大写真へ) |
強風に波立つ池 (拡大写真へ) | パイネ川 (拡大写真へ) | 山道を辿る |
マーガレット咲く平原 (拡大写真へ) | マーガレット | セロンキャンプ場 |
トーレス小屋が見えてきた (拡大写真へ) | トーレス小屋 | 四人部屋 |
本日の行程32km。
2/01 帰りの飛行機はウシュアイアを2/14に出発だから、まだ2週間ある。このまま、パイネを離れると時間をもてあましそう。心残りだったWの中央軸、ブリタニコ展望台に登り直そう。それとまだ歩いていないアドミニストレーション・センターからパイネ・グランデ小屋までのコース(サーキットとつないでQと言うらしい)をつないでみよう。
ミニバスでアマルガ湖のバス停に出る。ここからのパイネ山群の眺めも素晴らしい。アドミニストレーション・センターに向かう。この道路は最初の日に通った所だ。昼頃、到着する。
北に向かって、平原の道を歩き出す。とたんに強風に見舞われる。今度は向かい風だ。何の見所もない坦々とした道を頭を下げてひたすら歩く。途中、カレッタスキャンプ場というのがあるが、常時風が吹いているのか風を避けるように休憩場が作られている。この辺り、道はグレイ湖から流れ出たグレイ川の畔を通っている。
丘を越えて、ペホーエ湖が見える展望台に出ると、息を呑む光景が待っていた。ターコイズブルーというのだろうか、綺麗なトルコ石の色をした湖面に白波が立っている。その奥にはパイネ・グランデとクエルネスが聳えている。ああ、このコースはこの景色のためだけにあるのだな。
ここまで来ると、もう小屋は近い。この強風の中でテントを張る気はせず、また小屋泊まりとする。ここの小屋は賑わっていて、6人部屋は満室であった。
本日の行程16km。
2/02 今日はブリタニコ展望台の往復だ。カメラと食料、雨具だけの軽装で行く。
6時過ぎ出発。テントサイトは寝静まっている。東の空の朝焼けが美しい。クエルノスが赤く染まる。
森林火災のあとの道を急ぐ。風は昨日同様に強いが今は追い風だ。
イタリアーノキャンプ場、氷河展望台までは先日通った道だ。ブリタニコ展望台まではあと500mほどの登りだ。フランセス渓谷に沿って登ってゆく。ブリタニコキャンプ場。何の設備もないただの林だ。
ブリタニコ展望台の岩の上に立つ。広大な圏谷の真ん中だ。標高750m。カメラを構えるも景色が大きすぎて入りきらない。西のパイネ・グランデから南東のクエルノスまで岩峰が連なっている。ここはパイネ山群のふところみたいな処だ。やっぱり来てよかった。しばし陶然と佇む。
下山については書くこともなし。湖岸に出ると風は朝ほど強くないが、湖上の白波は凄いのでまだ強風が吹いているのだろう。
5時半、小屋へ帰着。
もう、パイネに思い残すことはない。双胴船の発船が6時半なので、これに乗って帰ろう。
10時、プエルト・ナターレスに帰着。タクシーでシティーセンターの適当なホテルの前に着けてもらう。
本日の歩行距離、25km。
2/03 バス・ステーションまで20分ほど歩く。
二月に入って、ハイシーズンを過ぎようとしているのか、バスステーション内も少し閑散としてきているようである。
バスでプンタ・アレーナスへ。低いレンガの樹叢が続く平原を走る。道路はさすが幹線なので舗装されていて快適だ。少しうとうとする。3時間で市内中心部の終点に着く。
さて、これからウシュアイアへどうやって行くか算段をしなければならぬ。まだ、10日ほど残っているので、出来たらゆっくりとクルーズ船に乗ってウシュアイア入りしたい。旅行社へ行ってみると、ウシュアイア行きのクルーズ船は満室だが、2/06発、3泊4日のウシュアイア発着のクルーズなら空室があるとのことなので、ずいぶん高いと思ったが日数消化のためにこれに乗ることにする。2/05のウシュアイア行きのバスの予約をして、明日はプンタ・アレーナス観光に充てることにする。
ホテルはちょっと贅沢して旅行社のすぐ傍にあった3つ星ホテルに2泊することにする。荷物を置いて市内散歩。
プンタ・アレーナスはチリ・パタゴニア最大の都市だが、人口15万足らずの小都市だ。名前はスペイン語で「砂の岬」を意味するらしい。ホテルから少し歩くと港に出る。目の前の海はマゼラン海峡だ。パナマ運河が開かれる前は太平洋と大西洋を結ぶ航路の寄港地として栄えたらしいが、今はひっそりとした港だ。町の中央の公園にはマゼランの銅像が立っている。
夕食は旅行社の女性に勧められたシーフードレストランへ。前菜として取ったキングクラブとアボガドは大変美味しかった。メニューに載っていなかったが、パエリアを注文したがこれは不味かった。私が作るものの方がよっぽど旨い。
2/04 今日一日は市内観光にあてたが、実は見るほどのものはあまりない。午前中に2つの博物館を見る。
一つは教会付属のもので僧侶が収集したものが中心となっている。動物の剥製と原住民の生活模型(これはウシュアイアでもうんざりするほど見せられる)だ。それと個人的に興味深かったのは百年以上前のものだろうがハンス・クレッパー製のフォールディング・カヤックが陳列されていた。海用で帆の付いた大型のものだが、基本的には私の持っているものと変わらない。
もう一つはマゼラン像の隣にある交易で財をなした商人の屋敷だ。調度品などそれなりに見事ではあるが、所詮田舎の金持ちのものとといった感じで、ヨーロッパなどの大都市の豪華な屋敷とは比べものにならない。
午後は町の散歩。はじめに両替所へ行って、今までせっせとATMで引き出したチリ・ペソをドルに換える。800ドルほどになった。これだけあればアルゼンチン側に入ってATMが使えなくても何とかなるだろう。
高台に登って町を一望する。あとは港の廻りをブラブラするだけ。
フォールディング・カヤック | ブラウン・メネンデス宮殿 | 市街展望 (拡大写真) |
夕食は「地球の歩き方」に載っていた中華料理店に行ってビュッフェスタイルの料理を取る。まあまあの味だ。中華料理はどこへ行ってもそれほど外れのないので有難い。