下北半島サイクリング
(2016.09)

 前回、能登半島一周サイクリングをやったので、今度は下北半島を廻ってみたいと思った。津軽半島は行ったことがあるが、こちらに足を踏み入れたことはなく、恐山や薬研温泉、仏ヶ浦などは一度訪れたいと以前から思っていた。

9/3(土) 八戸まで新幹線。ジパング使ってもずいぶん高い。遠いことを実感する。
2時半、八戸駅を出発する。ちょっと、八戸港によって行く。本当は種差海岸を見たかったのだが、反対方向へ走らなければならないので断念する。ここからは苫小牧へフェリーが出ているんだ。
 R338を北に走って、三沢市内に入る。ここまでは特に感想なし。市内のスーパーで今晩と明朝の食料と酒を仕入れる。三沢空港からサイクリング道路に入り、市民の森の小川原湖畔の芝生の広場でテントを張る。小川原湖は日本で11番目の大きさの汽水湖で、今日は霧で対岸は見えない。静かな一夜である。シュラフインナーだけで十分暖かい。

     
八戸港  サイクリングロード  キャンプサイト 

 走行距離44km。
走行ルート


9/4(日) 曇。7時出発。一路、北上して下北半島の北東部、尻屋崎を目指す。斗南藩記念村、2002年三陸海岸サイクリングを行った時、訪れたことがある。まだ早朝で人気がない。
 小川原湖の流れだしで、R338に合流して北へと走る。六ヶ所村に入る。いくつかの湖沼の傍を通り抜けると、侘びしげな村の中心部である。有名な核燃料サイクル施設などは窺うべくもない。この辺り海岸から近いところを走っているのだが、樹林帯に遮られてほとんど海が見えない。ダッ、ダッ、ダッと速射砲の音がひっきりなしに聞こえてくる。この辺の海岸は防衛省の射撃試験場がある。
 山が海岸に迫った処に泊漁港がある。少しは海も見なくちゃと立ち寄る。太平洋の波が打ち寄せる最果ての雰囲気を漂わせる港である。人影はほとんどない。

出発 小川原湖 小川原湖の流れ出し高瀬川
鷹架沼だったかな? 六ヶ所村 尾駮沼? 
 泊近くの海岸  泊近くの海岸 泊漁港 


 しばらく走ると、東通村に入る。ここから北の海岸は猿が森砂丘で日本一大きい砂丘であるが、東通原電と防衛省の試験場で立ち入り禁止地帯となっている。道路も海岸から離れて樹林帯の中を通っており、砂丘の様子は窺えない。パラパラと雨が降ってくるが、雨具をつけるのも面倒だ。しばらく走っていると晴れてきて、気持ちのよい日射しとなった。
 尻労(なんとシツカリと読むそうな)へ向かう道を分けて、更に北へ走る。尻労もちょっと寄ってみたいがこちらは行き止まりだ。袰部(ほろべ)の集落を経て海岸に出る。目の前は津軽海峡だ。東へ走り、大きなセメント工場を過ぎる。この辺り無尻というらしい。なんと読むのだろう。尻の字に縁のある土地だな。何か謂われがあるのかな?
 美しい海岸線の先に尻屋崎の灯台が見えてくる。芝の上には有名な寒立馬(かんだちめ)があちらこちらに草を食んでいる。人が寄っていって、撫でてもおとなしくしている。30分程灯台のあたりをブラブラして、一軒だけポツンとある食堂でチャーシュウ麺を食べる。なかなかの味だ。

 尻屋崎へ 津軽海峡  寒立馬 
尻屋崎灯台  尻屋崎  尻屋集落へ向かう 


 尻屋崎の漁港の方へまわり、一周して西へ向かう。海岸から離れて、丘を越え、谷を渡って、いくつかの集落を過ぎて走るが特になんと言うこともない農村風景である。斗南藩士の墓という標識がある。この辺りまで斗南藩だったんだ。むつ市街に入る。もう4時だ。今日はここまでか。風呂にも入りたい。ビジネスホテルに入る。

   
 道ばたの湖沼 田園風景 


 夕食は居酒屋で一杯。地酒「関乃井」は安くて旨かったが、肴はなんと言うこともなかった。
 走行距離127km。
走行ルート

9/5(月) 6時半出発。シトシトと小降りながら、雨具が必要である。今日は恐山、薬研温泉から大間に向かう予定である。雨の中、ほとんど車の通っていない道を登って行く。幸いそれほど急勾配という程のこともない。途中、恐山から薬研温泉の間が通行止めとの標識が出ている。先日の台風でやられたか。やばい。しかし行くしかない。
 標高390mの峠辺りで雨は止んだ。ここから恐山宇曾利山湖(240m)までは一気の下りだ。硫黄の臭いがしてくると湖の広い河原に出、お寺の山門の前に至る。まだ朝早いので観光客は疎らだ。
 入場料を払って、寺のうちに入る。立派な寺院である。裏の方にこれまた立派な旅館がある。入浴自由の温泉があるが、まだ入る気がしない。いろいろ見て回れるように、一周コースになっているが、荒涼とした火山の光景はいいのだが、そこを仏臭くしている地獄だの水子地蔵だのは信仰心のない小生はあまり好きではない。ただ、霧の立ちこめた湖だけは僅かに見所ではあった。

小雨の中の石仏   恐山到着 本堂 
湯船  恐山風景1  恐山風景2 
 恐山風景3 宇曾利山湖  宇曾利山湖 

 売店で薬研温泉まで自転車で通行可能か確かめるも、誰も行っていないので不明とのこと。大抵の通行止めは自転車はOKのことが多いのだが、地図で見ると200m程登らなければならないようだし、ギャンブルは避けたい気分だ。薬研温泉は諦めて、むつ市に引き返して、大間に向かおうと引き返しかかるが、薬研温泉に向かう道が湖の流れ出しに沿っている。あれっ。この川沿いに道があるんとちがうやろか。少し行ってみると、川沿いに林道が下っている。地図を見ると津軽海峡側の大畑まで下っているようだ。約10kmぐらい。舗装していない林道でもこれぐらいなら下り一方だから楽なものだろう。
 台風の大雨の後もあるのだろうが、なかなか荒れた林道で何カ所か押すところがあったが、ガタゴトと何とかパンクもせずに無事、大畑へ抜けられた。

正津川   林道 ここらの仏さんは前掛けではなく頬被りなんだ 

 すっかり晴れ上がり、きついぐらいの日射しとなった。海岸沿いを約30km走って、大間到着。最初に目に付いたフェリー乗り場近くの寿司屋でマグロ丼を食べる。もちろん不味くはなかったが、念入りに探せばもっと美味しいところがあったような気もする。

大間へ  津軽海峡  大間 フェリー乗り場 

 さて、ここからは西海岸を南下する。斧の形の下北半島の刃にあたる部分だが、山が海に迫っていて険しい海岸だ。15km程南の佐井までは平坦な道を走る。佐井のコンビニで今夜の食料を仕入れる。
 佐井を過ぎると、アップダウンが多くなるがさほどの勾配はなくゆっくり走ればなんと言うことはない。願掛岩の奇勝を過ぎ、長後、福浦を過ぎ、遙か山の方に縫道石山を眺め登ってゆき、仏ヶ浦の展望台に到着する。ここが仏ヶ浦へ降りて行く道があるところかと少しウロウロするが、仏ヶ浦の駐車場は2、3キロ先だった。6時に着き、急いで仏ヶ浦の海岸に下る。100m程の下り、10分少々で海岸に出る。夕闇迫る海岸には誰もおらず静かに波が打ち寄せているだけだった。仄かな夕焼けが美しい。名前のせいもあるが、やっぱり少し気味の悪さを感じる場所だ。

願掛け岩  仏ヶ浦夕景  仏ヶ浦夕景  
 仏ヶ浦夕景   仏ヶ浦夕景  仏ヶ浦日没

 駐車場に戻ってテントを張る。今晩も暑い。
 走行距離 105km 獲得標高 1440m
走行ルート
 
9/6(火) 7時前、仏ヶ浦駐車場を出発。道は海岸近くまで下る。牛滝漁港へ寄ってみる。人影はなく寂しげな集落だ。

牛滝漁港  牛滝  牛滝−仏ヶ浦観光船 

 牛滝川沿いに登ると、高原に出る。標高200m。辺りは牧場だ。牛の群れにカメラを向けると、数頭が傍まで駆け寄ってくる。鉄条網を隔てているので、危険はないが何を期待して寄ってくるのかな。
 ここからアンド山の山腹をなだらかな勾配で登ってゆく。パラパラと雨が降ってきた。国道だが車の通行はほとんどなく、気持ちよく走れる。標高500mちょっとの最高地点を越えると脇野沢漁港へ向かってなだらかな下りだ。途中の侘びしい道の駅で休憩。少々腹が減ったので羊羹を買って頬張る。脇野沢に到着するも見るべき程のものはなさそう。ここから西に向かうと九艘泊という漁港がある。心惹かれる地名だが行き止まりで、引き返さねばならないので、今回はパスする。

キクイモの花?  ヤナギラン  近づいた牛たち 
 国道最高点の眺め ゲンノショウコ  ソバの畑 


 海岸沿いに東へ走りむつ市を目指す。雨は止んで、日が射してきた。大湊町まで波の静かな陸奥湾の海岸を走る。大湊駅で一休憩する。ここはJR大湊線の終点だ。だいぶ走り疲れてきたし、ここから野辺地まで見所もなさそうなのでここで打ち上げようかとも考えたが、それでは下北一周とは言えない気がする。やはり、野辺地まで走って一周を完成しよう。
 むつ市から野辺地までのR279ははまなすラインというらしいが、ハマナスなどは全然見えず大型トラックがひっきりなしに走る産業道路である。片側一車線で路肩などもほとんどなく、アスファルトの凹凸がひどく走りにくいことこの上ない。脇道に逃げてみるが、国道と並行に走る道はなく結局国道に戻らざるを得ない。
 いい加減嫌気がさし、陸奥横浜で道路脇のペンションに飛び込む。
 夕食は食べきれないほどで、なかなか旨かった。

 川内の古い建物 JR 大湊駅 R279から入った農道 
 田園風景 陸奥湾   R279沿いのペンション

 走行距離 115km
走行ルート

9/7 (水) 30kmちょっと走って、野辺地に到着。初めの心づもりでは十和田湖辺りまで走ろうかと考えていたが、そうするとこのあとR4を七戸まで走らねばならない。もう交通量の多い道路は嫌だ。ここでお終いにしよう。

R279  野辺地港  常夜灯 最古の灯台 
 歴史民俗資料館   歴史民俗資料館  

 荷物をパックして、青い森鉄道で浅虫温泉へ行き温泉で汗を流す。
 八戸まで引き返し、新幹線で帰阪。
 走行距離 34km
走行ルート