スイス紀行 (下) 2016.08

8/5 予報通り、悪天候。小雨が降っており、どこの展望台に登っても何も見えないだろう。ビュッフェスタイルの美味しい朝食を食べ、登山鉄道で山を下りツェルマットの町を見物することにする。一同解散して、小雨の中、通りを20分程も歩くともう町外れの公園に着く。ブラブラと引き返していると町の中心部に墓地がある。結構たくさんの遭難者の墓がある。中には身元不明の遭難者の墓もある。ここにはマッターホーン初登頂のとき、事故死した登山者の墓もあるらしいがどれかは判らなかった。

   
羊の行列   街中の古い倉庫 スレートのネズミ返しが付いている 
     
墓地 少女の墓  遭難者の墓  マーモットの像 


 昼食は街中のレストランでスイス名物のラクレット。トロリと溶かしたチーズを小さな丸ごとのジャガイモや野菜にかけて食べる。なかなか旨い。ジャガイモはおかわり自由だ。
 午後になって雨は止み、少し天候が回復していたので地下ケーブルでスネガに上り、更にゴンドラを乗り継いでウンターロートホルンの展望台まで登ったが、雲が垂れて展望はきかず。
 スネガまで下り、我々は一行と別れてハイキングコースを歩いてツェルマットまで下ることにする。ライゼーという湖というよりは池のまわりを回って、フィンデルンの村を通って下ってゆく。フィンデルンの家々は今はほとんど空き家となっていて、ちょっと気味の悪さを感じるほどである。道の端にはアザミなどの花々が咲いて目を楽しませてくれる。
やがて道は樹林帯に入り、山岳鉄道の線路を渡ってツェルマットの町へと下って行く。

     
ライゼー フィンデルンの村   フィンデルンの村
     
村はずれのキリスト像  山岳鉄道とクロス  樹林帯を下る 
     
ピンクのノコギリソウ   ヒメイトシャジン? ナデシコの一種 
     
 アザミ エリンギウム・アルピヌム  ヤナギラン
     
 ベンケイソウ  ? 庭に咲いていたエーデルワイス 


 ツェルマットから、また山岳鉄道でホテルまで帰って、今日の日程はお終い。
 夜中、窓から暗闇の中にマッターホルンが聳えているのが見える。明日は快晴だ。

8/6 黎明。ホテルの裏の展望台に登ると、四方の山々が全てはっきりと眺められる。やはりマッターホルンの姿が圧巻である。その右側には、ツェルマットの町の向こうに左からデントブランシェ、オーベルガーベルホルン、ツィナールロートホルン、ヴアイスホルンと4000m級の山々が連なる。それとモンテ・ローザ、とそこから流れ落ちる氷河が豪快である。氷河の近くの岩壁にへばりつくようにモンテ・ローザ小屋が見える。ホテルすぐ下の塩を置いたエサ場にアイベックスが塩を嘗めにやってきている。

     
黎明のマッターホルン   マッターホルンに続く連峰  朝陽に輝くマッターホルン
     
雄のアイベックス  雌のアイベックス  モンテローザ小屋 
 
モンテローザ(左)とリスカムの間から流れ落ちるグレンツ氷河(再掲) 


 今日はクラインマッターホルンの展望台に上る。ツェルマットまで下り、8人乗りのテレキャビンでフーリ、シュバルツゼー、フルグを経由する長い長いコースを乗り換えなしにゴンドラ乗り場(3000m)へ。ここからクラインマッターホルン(3900m)まで一気に上る。針のような岩山の頂上によくまあロープウェイを作ったものだ。ここから見るマッターホルンは形が猫背になったようで、ツェルマット方面から眺めるような偉容はない。見下ろすとイタリア側の町が見え、なだらかな雪面にはスキーを楽しむ人たちが多く見られる。
 ブライトホルン(4160m)がすぐ隣に見え、登山者が行列を作って上っている。アルプスの4000m峰では最も簡単に登れる山のようで、小生でも登れそうだ。

     
 山岳鉄道から テレキャビンから テレキャビンから 
     
マッターホルン登山口、ヘルンリ小屋   氷河を見下ろす マッターホルン 
     
 マッターホルン ブライトホルン  ブライトホルンの頂上 
   
モンブラン遠望(左) ドーム(左)とアラリン(右の険しい山) 中央はゴルナグラート   ロシティ


 展望台のレストランで昼食にロスティ(ジャガイモのピザみたいなもの)を食べる。これもスイス名物だ。なかなか旨い。

 ツェルマットへ戻って、町をぶらぶらするという一行と別れて、一人で登山鉄道のリッフェルベルグで途中下車して次の駅のローテンボーデンまで、リッフェルゼーのあたりを少し歩くことにする。山のホテルで結婚式が行われている。小さな礼拝堂を過ぎ、草原の道をゆっくりと上ってゆくとやがて小さな湖(池?)が現れる。鏡のような水面にマッターホルンが逆さに映って美しい。次に少し大きな湖が現れる。リッフェルゼーだ。これにも逆さマッターホルンが映る。午後のマッターホルンは岩肌が影になっていてちょっと残念。

     
下りのゴンドラ  ツェルマットに下る  リッフェルベルグからブライトホルンを見る 
     
 アズマギク?  リンドウ ベンケイソウの類 
     
 リッフェルゼーへの登り リッフェルゼー(小)に映るマッターホルン  リッフェルゼー(大) 

 日没、月とマッターホルン。

 
日没のマッターホルン 


8/7 運動不足の娘を誘って、モルゲンロートに染まる逆さマッターホルンを見ようと夜明け前にリッフェルゼーまで歩いて下る。リッフェルゼーで丁度マッターホルンの頂上が朝日に照らされるのに間に合った。もう一つの山かげの池にはモンテローザが映っている。始発の電車でホテルへ戻り、朝食。

     
またまた、黎明のマッターホルン   リッフェルゼーの逆さマッターホルン  手前はワタスゲ
   
 リッフェルゼー(小) 山陰の小湖に映るモンテローザとリスカム  湖辺の羊群


 今日はツェルマットに別れを告げて、シャモニーへ向かう。ツェルマットでは丸一日快晴に恵まれて、マッターホルンの姿を満喫出来た。次に来る機会があれば、一週間ほど滞在していろんなハイキングコースを歩いてみたいものだ。
 ツェルマットから一駅、鉄道で下り、テーシュ(ここから先、ツェルマットへは車は入れない)から、バスでシャモニーへ向かう。国境の峠を越えて下ってゆくとシャモニーの町に入る。この辺りの道はロードバイクのサイクリストが多い。さすが自転車王国フランスだ。

     
ツェルマットからテーシュへ   バスからの風景  バスからの風景
     
バスからの風景(葡萄畑)  昼食を摂ったマルシェ  サイクリスト 


 ホテルにチェックインして、直ちにゴンドラの乗り場に向かう。今日は日曜日とあって凄い人混みだ。一時間以上待ってやっとエギーユ・ドゥ・ミディ展望台へのゴンドラに乗り込む。1回ゴンドラを乗り換えて、岩壁を垂直に昇ってゆくような感じで頂上駅に到着する。エレベーターで最高地点の展望台(3842m)に上がる。
 すぐ傍の岩峰にロッククライマーがへばり付いている。
 モンブランはと、稜線を眼で辿ると、丸い雪で真っ白の頂上が見える。ヨーロッパ最高峰がかくも簡単にすぐ目の前に見えるとは凄いと感嘆する。登山ルートをこちらに下ってくる何パーティーかの登山者が点々と見える。眼下の雪原には一群のテントが見える。モンブラン登山は無理でも、ここにテントを張ってみたい。反対側に目をやるとグランドジョラスやそこにつづく針峰群がみえる。まさに絶景である。アッ、遙か向こうにマッターホルンが見えている。
 景色に酔った。

     
モンブラン山頂  グランドジョラス  イタリア方面の眺め 
     
マッターホルン遠望   シャモニーの町を見下ろす 岩峰を登るクライマー 
     
 雪原のテント 頂上の展望台  シャモニーの町から見た展望台 



8/8 いよいよ今回のスイス旅行も終わりとなった。バスでジュネーブ空港まで行き、娘と別れる。娘はこれから鉄道でパリに向かい、八月いっぱい、フランスを廻るとのこと。我々ツアー一行はアムステルダム経由で大阪に帰る。