鶴岡−田沢湖(1999.04

 昨年夏、秋田県虎毛沢を遡行して虎毛岳から高松岳に縦走して最後に河原毛の湯滝で汗を流して打ち上げにしようと計画したのだが、虎毛沢で滝から転落して右足の底・鍾骨を骨折してあえなく敗退した。まだ山歩きは出来ないがサイクリングは何とか出来るようになったので、せめて河原毛の湯滝に行こうとこのサイクリングを決行した。

4/30
 寝台特急で早朝鶴岡着。直ちに月山湯殿山を目指す。梵字川の渓谷を見ながら、まずは七五三掛の注連寺を目指す。ここは森敦の「月山」を読んで何時かは訪ねてみたいと思っていたところだ。残雪の残る寺の佇まいはあの小説のイメージとピッタリである。次に田麦俣の兜造の多層民家を見学する。飛騨の合掌造りほどの大きさはないが優雅な建物である。
 ここから六十里越街道に入る。通行止めとなっているが数日前に除雪が終わったとのことなので入って行く。滝百選の七つ滝を眺めながら漕ぎ上ってゆく。路傍は1m程の残雪であるが、自転車で上るには涼しくて快適である。勾配もさほどではない。
 湯殿山口。湯殿山もお参りしなくてはと、バスに乗ってお参りする。「語るなかれ、聞くなかれ」といわれる神社であるからご神体の様子については書かない。
 さて弱った。六十里越街道はここから先の除雪が出来ていない。新しい道路は自動車専用道で自転車は入れない。引き返して最上川沿いに新庄へ向かおうかと考えていると、京都ナンバーの車が寒河江ダムまで乗せてくれた。
 寒河江川を東に下って行く。途中、山菜料理の出羽屋で遅い昼食。ここの山菜料理も今回の旅の目玉だ。今度は秋に来てキノコ料理を食べよう。最上川に出て、堤防にツエルトを張る。

     
 梵字川渓谷 七五三掛 注連寺 七五三掛 大日坊
     
 田麦俣 多層民家  六十里街道  雪の月山



5/01
 最上川を下り、大石田から新庄の西ののどかな丘陵地帯を走る。途中サクランボやリンゴの花が迎えてくれる。遠くには鳥海山が真っ白な姿を見せている。満開の枝垂れ桜の下で昼食。老夫婦から大きな草餅を頂く。
 真室川の町に出る。真室川音頭は子供の時から聞いたことがあり、温泉町だとばかり思っていたが温泉はないようだ。奥羽本線に沿って北上、山形県最後の駅「及位(のぞき)」に出る。幹線のR13に合流して県境の雄勝トンネルに向かう。地図を見ると新道の上に古いトンネルがある。これを越えようと坂道を上っていったが、残念なことにトンネルはコンクリートで閉じられていた。残念。しかしこの辺りはカタクリやキクザキイチゲが花盛りだ。
 トンネルを抜けて秋田県に入る。坂を下ると院内だ。昔、銀山で栄えた町らしいがその名残は余り残っていない。雄物川を少し下り、東へ山間の道に入り、川原毛地獄を目指す。さらに小道に入り、急坂を上ってゆくと目的地の川原毛に着く。ちょっとした公園になっていて、東屋の中にツエルトを張る。
 ここの温泉での経験については既に書いた。
http://www.tcct.zaq.ne.jp/tokuyohsu/onsen/onsen.html#kawarage

     
 リンゴの花  最上川  月山遠景
     
 満開の枝垂れ桜  鳥海山遠景  及位駅
     
 カタクリ  川原毛大湯滝  川原毛地獄


5/02
 上ってきた道は川原毛地獄で行き止まりだが、数百メートル上に泥湯から小安温泉に通じる道がある。残雪に覆われた赤土の急斜面の小道をよいしょよいしょと押し上げる。小安温泉へ下る途中の木地山高原、池塘と新木々の芽吹きが美しい。小安温泉ではゆっくりと露天風呂で休憩する。
 最初の目的ではここから栗駒山に向かうつもりであったが、栗駒道路が閉鎖中のため皆瀬川を下る。稲庭。この辺鄙な山間の集落が稲庭うどんの里だ。うどんを食べなくちゃ。 再びR13に合流して、横手を経由して北上する。名水の里・六郷をチラリと見て、まっすぐ角館に向かう道に入る。右手には低いながら和賀岳から真昼岳に続く稜線が雪をかぶって美しく連なる。何時かここへも登ろう。
 今日は乳頭温泉で泊りたいので、角館見物は明日にして角館街道を田沢湖へと向かう。乳頭温泉手前の水沢温泉で時間切れ。ゴールデンウィークに飛び込みで泊まれるわけもなく、ホテルの駐車場にツエルトを張る。

     
 木地山高原  和賀岳遠景  乳頭温泉黒湯


5/03
 とにかく乳頭温泉まで上り、黒湯で入浴。路傍のビックリするほど大きい蕗の薹(秋田ブキ?)と採り、田沢湖を半周して潟尻から下り、西木のカタクリ群落を見物し、角館。もう一日余裕はあるが、宿は見つからず。雨に濡れた武家屋敷町をブラブラする。大変な人出である。残念ながら枝垂れ桜は既に散り果てていた。JRにて帰阪。

後記:お判りのように、やまんなか縦断は完璧には繋がっていない。湯殿山から寒河江ダムまでの10キロほどは車に便乗した。気にはなるのだが、わざわざこれを繋ぐために山形まで出かける気にはならないではないか。


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