2015年10月
秋月
以前にも「秋月」と題して詩を紹介していますが、もうネタ切れに陥っています。
岑参 磧中作(磧中の作)
走馬西来欲至天 馬を走らせて 西に来り 天に至らんと欲す
離家見月両回円 家を離れ 月の両回円かなるを見る
今夜不知何処宿 今夜 知らず 何れの処にか宿るを
平沙万里絶人煙 平沙 万里 人煙絶ゆ
西へ西へと馬を走らせて天の果てまでやってきた。家を出てからもう二度も満月を見た。
今夜はいったいどこに泊まれるのだろう。見渡す限り平らな砂漠が続いていて人家の煙も見えない。
杜牧 寄揚州韓綽判官(寄揚州韓綽判官)
青山隠隠水迢迢 青山 隠隠 水 迢迢
秋尽江南草木凋 秋尽きて 江南 草木凋(しお)る
二十四橋名月夜 二十四橋 名月の夜
玉人何処教吹簫 玉人 何れの処にか 吹簫を教う
青山はうっすらと見え、川は遙か彼方。秋の終わり江南の草木もすっかり枯れ果てたことでしょう。
揚州の二十四の橋のあたり明月の夜が目に浮かびます。あの時の玉のような女性は今もどこかで簫を吹くことを教えているのでしょうか。
参考図書
中国文学歳時記 秋 黒川洋一他編 同朋舎