2015年11月
蘇州寒山寺
寒山寺の詩と云えば張継の「楓橋夜泊」が最も有名ですが、その後にも何人もの詩人がここで詩を作っています。しかし、どれも張継の詩を念頭に置いて作っているようです。
張継 楓橋夜泊
月落烏啼霜滿天 月落ち 烏啼きて 霜天に満つ
江楓漁火對愁眠 江楓 漁火 愁眠に対す
姑蘇城外寒山寺 姑蘇城外の寒山寺
夜半鐘聲到客船 夜半の鐘声 客船に到る
高啓 將赴金陵始出閶門夜泊(二首)
(將に金陵に赴かんとして 始めて閶門を出でて夜泊す)
烏啼霜月夜寥寥 烏啼 霜月 夜寥寥
回首城離尚未遙 回首すれば 城を離るること 尚未だ遙かならず
正是思家起頭夜 正に是れ 家を思いて頭を起す夜
遠鐘孤棹宿楓橋 遠鐘 孤棹 楓橋に宿る
王士稹 夜雨題寒山寺、寄西樵・礼吉 二首
其一
楓葉蕭条水駅空 楓葉 蕭条として 水駅空し
離居千里悵難同 離居千里 同じきことの難きを悵む
十年旧約江南夢 十年の旧約 江南の夢
独聴寒山半夜鐘 独り聴く 寒山 半夜の鐘
この詩はふたりの兄と寒山寺に遊ぼうと約束していたのにたった一人で来ることになったのを悲しんで作った詩です。