2018年06月
蘇舜欽
 蘇舜欽(1008-1048)は梅堯臣と並び称せられる宋代初期の詩人です。官としては不遇で、若くして免官となったようです。以下に挙げた詩は平穏な日常生活を淡々と詠った詩ですが、彼には庶民の苦しみを歎いた詩や、異民族の圧迫への怒りの詩もあるようです。

夏意
別院深深夏席清  別院 深深 夏席清し
石榴開遍透簾明  石榴 開くこと遍く 簾を透かして明らかなり
樹陰満地日当午  樹陰 地に満ちて 日は当に午なり
夢覚流鶯時一声  夢より覚むれば 流鶯 時に一声


別荘は奥深い処にあり、夏ござは清々しい。石榴の花が一斉に開いて簾を通してはっきりと見える。
木陰が庭を覆って、太陽は正午で真上にある。夢から覚めると、丁度ウグイスが一声啼いた。


暑中閑詠
嘉果浮沈酒半醺  嘉果 浮沈して 酒半ば醺(よ)い
床頭書冊乱紛紛  床頭の書冊 乱れて紛紛たり
北軒涼吹開疎竹  北軒 涼吹 疎竹を開く
臥看青天行白雲  臥して看る 青天 白雲の行くを

美味しい果物が冷やした水に浮き沈みしており、丁度ほろ酔い気分だ。ベッドの傍らには書物が散乱している。
北側の小部屋では涼風が疏らな竹林を吹き開き、その間から青空を白雲が行くのを寝転んで見ている。


淮中晩泊犢頭
春陰垂野草青青  春陰 野に垂れて 草青青
時有幽花一樹明  時に幽花の一樹に明らかなる有り
晩泊孤舟古祠下  晩に孤舟を泊す 古祠の下
満川風雨看潮生  満川 風雨 潮の生ずるを看る


春の雲が野に覆いかぶさり、草が青青と茂っている。時々、名も知らぬ花をつけた樹木が明瞭に見える。
夕方になって、舟を古い祠の辺りに停泊させる。川一杯の風雨のなか、潮が満ちてくるのを見る。

参考図書
 宋詩選注 銭鍾書著 東洋文庫 平凡社
 宋詩選 小川環樹 筑摩叢書