四月初旬、白山山系、経が岳(1625m)から赤兎山(1628m)への縦走を試みた。
4/4
越前大野着。駅で観光利用券を貰う。これをフルに使うと二千円ほど得をするが、小生はおろし蕎麦(580円)が無料とバス代を500円割引となった。12時のバスで六呂師へ。乗客は私一人である。途中より雨となる。六呂師スキー場は上まで全く雪無し。
雨具を着けて、1時半出発。保月山への稜線取り付きで少し迷い、少々ヤブ漕ぎをする。標高1000m付近からようやく積雪となるが、アイゼンワカンが必要なほどではない。4時半、保月山。シトシトと降る雨で全く陰気な雰囲気。今日の泊り場を探しながら進む。6時過ぎ、少し平らな場所でツェルトを張る。今回はツェルトとスリーシーズン用シュラフと軽量化を計ったが、雨の日のツェルトは辛いものがある。
4/5
7時出発。深夜に雨は止み、ぐっと冷え込んだ。雪がよく締っている。アイゼンをつけて出発。今朝は食欲もなく、体調がもう一つだ。足が上がらない。やがて稜線右手に火口原がひろがる。広々としたブナ林で、新緑や紅葉の時テントを張ってノンビリしたい場所だ。ここから経が岳山頂まで急登が続くが、雪が締っているのでアイゼンがよく効く。
9時、山頂到着。眼下に昨日登った保月山からの稜線、六呂師スキー場などが眺められる。南には荒島岳が聳えている。頂上から次の法恩寺山への稜線を分ける1609mのピークまでは険しい稜線が続く。ピークまでは法恩寺山からワカンの足跡が着いている。ピークに立つと赤兎山までの稜線、関学ワンゲルの遭難で有名になった大長山と赤兎山が並び、その奥に白山、別山が聳え雄大な眺めである。白山のくせに黄色く見える。黄砂が飛んでいるのかな? ワカンに履き替えて、赤兎へ続く稜線の鞍部までそろそろと下る。無雪期なら30分とかからないコースであるが、所々急な下りのナイフリッジとなっていて怖い。ピッケルを持ってこなかったのを後悔する。鞍部到着。ヤレヤレ。しかし小生程度の登山レベルでこんな事を続けているときっといつか命を落すだろうな。これを最後にしよう。ここから赤兎山まではなだらかな尾根となりノンビリと登れるが、体調は相変わらずで足の上がりが鈍い。
4時ようやく赤兎山山頂。この辺りワカンやスキーの跡が見られる。鳩ノ湯方面へ足跡が続いている。あわよくばもう一日かけて三の峰方面へ足を伸ばそうかと予定していたがこの体調では無理。明日は鳩ノ湯へ下山と決まった。東の広い雪原に避難小屋が見える。今夜は小屋泊まりだ。
小屋に着いてみると入口は雪の下で入れない。やむなく小屋の脇にツェルトを張る。昨夜の雨でツェルト、シュラフはビショビショに濡れている。辛い夜になりそうだ。一晩中、強風。
4/6
快晴。雪原に朝日が映えて美しい。今日の白山は真っ白である。赤兎頂上まで引き返し、鳩ノ湯方面への尾根を下る。今日は体調回復して少し元気になってきた。日が昇るにつれ雪が腐ってきて、ワカンが沈む。1351mのピークを過ぎ、少し下ったところから登山道は谷へ下るが、足跡は尾根伝いに南下している。夏道が下れるかどうか不安だったが、やはり尾根を歩いているのだ。少し下ったところで足跡を見失うが、ここまで来れば一番なだらかな尾根を下るしかない。この辺り杉の植林地帯となり人が入っていると思うと何となく安心する。900m辺りからは杣道に出、ノンビリと下る。昼前、道路に出る。
近くで山仕事の老人に聞くと、鳩ノ湯はまだ閉鎖中でバスも当然運休中とのこと。辺りに電話はない。これは長いロードになると覚悟をすると、老人が親切にも仕事を中断して車で勝原の駅まで送ってくれた。謝礼をしようとすると、手を横に振ってソソクサと去っていった。
タクシーを呼んで、越前大野へ。もう、朝市は終わっているので、土産に名物の上庄のサトイモを近くのスーパーで買う。たしか、「ためしてガッテン」だったかで、芋車で皮を剥いたサトイモは抜群に旨いと云っていたので、皮むきを買う。翌日、芋の煮転がしを作ったが、今までのとは段違いに旨かった。
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