北イタリア旅行記
June 2017

 今年の海外旅行は家内の意見に従って、北イタリアへ行くツアーに参加した。ちょっと心惹かれたのはリビエラ海岸の世界遺産チンクエ・テッレとマッターホルンとモンブランのイタリア側からの展望があったからである。

5/30 成田、ローマ経由で夜遅くボローニャに到着。お粗末なホテルに入る。

5/31 午前中、ボローニャ市内見物。どうもイタリアの都市の旧市街というのは、石造りの建物がゴチャゴチャと集まっていて、緑がほとんど無くてどうも好きになれない。ボローニャなんて、ソーセージの名前ぐらいしか知らない。アッ、それと以前読んだジョン・グライシャムの小説に主人公がボローニャの街を逃げ回るお話があって、なかなか面白かったのを覚えている。
 大聖堂とその前の広場。ヨーロッパはどこの都市へ行っても教会見物は必ずあるのでもう見飽きた。カソリックの教会の中はどこもそう違いがあるわけでもなく、門外漢の小生には細かい違いは分からない。
 市場を廻る。これは興味深い。ハム・チーズを山のように積んだ店、鮮やかな色の野菜をならべた店、日本とよく似た魚をならべた店など見飽きない。
 ボローニャ大学はヨーロッパで一番古い大学とのこと。中心部の一角に医学部の解剖学教室が公開されている。中央に解剖台が置かれていて、教授は講壇に坐って講義をし、助手が実際に解剖するらしい。周囲にはヒポクラテスやガレノスなどの偉人の肖像が並んでいる。この町ではこれが一番だった。
 100km程離れたパルマの町まで移動する。立派なハイウェイだ。横を「赤い矢」と呼ばれる新幹線が走り抜ける。
 パルマはチーズのパルミジャーノや生ハムでよく知られた街だ。昼食には山のような生ハムのスライスとパルミジャーノが出てくる。なかなか旨い。
 市街の教会を見て、ボローニャのホテルに帰る。

   
解剖台と後ろの教授席   ガレノスとヒポクラテス(右)
   
ボローニャの店  パルマのレストラン 



6/1 ボローニャからバスで西へ向かい中央山脈を越えてリグリア(リビエラ)海岸に出る。その一角の断崖に世界遺産のチンクエ・テッレと呼ばれる五つの漁村が並んでいる。昔は船でしか近寄れない場所だったらしいが、今は鉄道でつながっている。
 列車で東端のリオマッジョーレに着く。もう観光シーズンの始まりか大変な人混みである。この村は以前岩合光昭のネコの番組で見たことある。写真でしか見たことはないがアマルフィにはちょっと負けるかな。村の通りを散歩しながら連絡船の船着き場に向かう。素晴らしい紺碧のリグリア海を眺めながら、連絡船の到着を待つ。ここから西へ船からチンクエ・テッレを観光するのだ。あまり海の臭いがしない。海藻が少ないのかな?
 断崖の狭間の村を船から眺めながら、4つめのベルナッツアで下船する。ここの小さなレストランで小エビのリゾットとイカと小魚のフリットを白ワインで食べる。なかなかの味である。あとは城塞と街を見下ろす写真ポイントまで行っておしまい。また鉄道で西へ向かいレバントという駅でバスに拾ってもらう。
 今日の泊まりはリグリア海岸の有名なリゾート地、ラパロだ。ちょっと時代遅れではあるが豪華なホテルに泊まる。

   
リオマッジョーレ  マナローラ 
   
コルニリア   ベルナッツア
   
ベルナッツアの通り  ラバロの港(ホテルからの眺め) 



6/2 今日は北上して、内陸部のトリノに向かう。海岸から丘陵地帯を越えて、ポー川の流域、ピエモンテ州に入る。まず、ワインで有名なバローロ村のワイナリーを見物して、ワイン付きの昼食。美味しい料理で十分にワインを頂く。ワイナリーの前の道路はサイクリストが多い。見渡すかぎり丘陵地帯は全て葡萄畑だ。これ全部ワインにして飲むの?
 もう一つ、アルバという小さな街に立ち寄る。ここはトリュフで有名な町らしいが、特に感想は無し。

   
 バローロで見たサイクリスト  バローロの葡萄畑
   
ショウケースのトリュフ(アルバ)   


 トリノ着。ホテルはリンゴットという元フィアットの工場を改装したショッピングモールの中にあるビジネスライクなホテル。なかなか機能的に出来ていて面白い。屋上に上がってみると、一周1kmぐらいはありそうな自動車の試走場だ。昔はここでフィアットの新車の試走が行われたのだろう。

6/3 トリノ市街見物。トリノといっても、冬季オリンピックで荒川静香さんが金メダルを取ったことぐらいしか知らない。トリノはイタリアが共和国になる前、1865年まではイタリア王国の首都だった。世界遺産である王宮やキリストの遺骸を包んだといわれる聖骸布を納める教会などを見物する。今夜、トリノを本拠とするサッカーチーム・ユベントスがイギリスでヨーロッパ選手権をかけてレアル・マドリードと戦うとのことで、中央の広場はファン達が繰り出して騒いでいる。
 見物が終わると自由行動で、家内がフェラガモの靴を買ってから、古本屋街からポー川河畔を歩いて地下鉄駅に出てホテルに帰り、ノンビリとする。

   
聖骸布を納めた箱   
   
 王宮 王宮 
   
ポー川に架かる橋  トリノ駅の新幹線列車 


 
 6/4 昨夜はユベントスが大敗して、中央広場はファンが暴動状態となって千人ほどけが人が出たらしい。ツアー参加の夫妻が近くで夕食をとっていて、騒動に巻き込まれて命からがら逃げ帰ったとのこと。
 今日はトリノを離れて、更に北へ行きスイス、フランスと境を接するアオスタ渓谷州へと入ってゆく。アオスタ渓谷はナポレオンのイタリア侵攻の時に通った街道だ。州都アオスタの手前でハイウェイと別れて北へ小さな渓谷を辿る。
 渓谷を登ってゆくと小さな美しい湖(池?)が現れる。晴れているとここからマッターホルンが眺められるはずなのだが、今日は残念ながら雲がかかっている。湖畔には黄色いバターカップやわすれな草が咲いていてノンビリしたいところだが。ツアーではそうも行かぬ。
 そこから少し登るとマッターホルンの山腹、チェルビーノの村だ。冬にはスキーで賑わう村だが今はシーズンオフ。そう言えば昨年、スイスのツェルマットからゴンドラで国境に登った時にこの村を見下ろしたのだった。引き返してアオスタに向かう。

   
ブルー湖  バターカップの花 
   
ワスレナグサ  チェルビーノの渓谷 
   
 渓谷の集落  


 アオスタ。アオスタ渓谷州はイタリアで最も小さな州だが、観光で豊かな州らしい。アオスタの町も人口数万程度の小さな町だが、古代からアルプス越えの要衝とあって、ローマ時代の円形劇場、文などの遺跡が残っている。

   
ローマ時代の壁を住居に   アルプスの眺め
   
 ローマ時代の壁 シーザーの像 
   
ローマ時代の街の門   ローマ時代の橋


 町の広場のすぐ傍のホテルに入る。

6/5 アオスタ渓谷を奥に詰めて、クールマイユールに行く。ここからゴンドラで3460mの展望台まで上がるが、全くのガスの中。一寸先も見えない。もの凄く寒く、手すりにはエビの尻尾が付いている。早々に退散する。
 ゴンドラ駅の傍にモンブラントンネルのイタリア側出口がありフランスのシャモニーとつながっている。
 クールマイヨールの街をちょっと散歩して、アオスタに戻る。あとはアオスタ市街を散歩する。

6/6 アオスタから東のコモ湖に向かう。昼過ぎコモ着。湖畔のホテルにチェックインして、すぐに遊覧船に乗る。遊覧船と行っても近くの村をつなぐ連絡船でもありいくつかの港によって客を乗降させて一時間ほどでコモに戻ってくる。コモ近くの湖の周辺はホテル、別荘がびっしりと建っておりさすが有名な保養地だと感心するが、絶景という程のものではない。
 街の散歩。ここはボルタ電池の発明者、ボルタの生まれた街で記念館がある。ちょっと覗いてみたが、つまらなかった。あとは教会とか、古い城壁とか、・・・・。

   
 コモ湖 コモの街角 



6/7 早朝、朝食前に湖畔のケーブルカーで山の上に上がる。尾根の上からは彼方にモンテローザとその周辺のアルプスが白く輝いている。マッターホルンは陰になっているのか見えない。尾根の上の別荘地の路を一時間程散歩する。これが今回の旅での唯一のプチハイキングだった。

 
 モンテローザ遠望


 ミラノから成田へ帰る。

 長い旅だったが、圧倒的な印象がなかった。まあ、選択を誤った旅であったか。イタリアだから食事に期待していたのだが、あまり旨くなかった。朝食とか、夕食でもパスタ、リゾットは美味なのだが、肝心のメインディッシュが不味かった。これはツアーが安上がりだったせいで、イタリアの罪ではないのだが。