高島トレイル 前半
2017.05

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 滋賀県北部高島市は福井県若狭地方と境を接していて、その境界は中央分水嶺となっている。若狭側は日本海に流れる水であるが、近江側は琵琶湖に流れ込む。この中央分水嶺を歩くトレイルが開かれている。標高は1000m弱と高くはないが冬は雪の深いところであり、幽邃な趣のある山道である。全長80kmであるから長さは大峰奧駆と似た程度であろうか。
 今年のゴールデンウィークにはここを歩こうと決めた。全部走破するには、4、5泊する必要があるが、そこまでは日程がとれないので今回は半分だけ歩こう。
 
 5/3 愛発越(あらちごえ)を出発。 ここはR161の滋賀、福井県境で国境スキー場がある。快晴のもと、ゲレンデを通り過ぎ、第一のピーク乗鞍岳を目指す。登るにつれて、タムシバ、スミレなど花々が迎えてくれる。2時間ほどで865mの頂上に到着。 新緑の彼方に琵琶湖、竹生島が見える。

     
登山口・国境スキー場  タムシバ  タムシバ 
     
何スミレかな?  何スミレかな? イカリソウ 
   
アブラチャン?  カタクリ 何ザクラ? 
     
トクワカソウ   トクワカソウ トクワカソウ 
   
 琵琶湖と竹生島 ブナ林   ブナ林 


 ここからは尾根づたいにたいした上り下りもなく芦原岳、猿ヶ馬場へと辿る。この辺りブナの新緑が見事だ。下にはトクワカソウ(イワウチワの変種?)、カタクリが点々と咲いている。
 坂を下ると黒河峠。最初の水場だ。まだ明るいので先へ進むことも可能だがあまり急いでも仕方がないのでここでテントを張ろう。窪みにテントを張って日暮れまでノンビリ過ごす。

 5/4 5時半出発。昨年の今頃マキノスキー場から寒風に登り、ここまで歩いたので知った道ではある。今日は快晴だが風が強い。1時間ほどで三国山山頂。少し奥へ進むと小池がある。三国山から南の尾根道は体がふらつくほどの強風である。明王ノ禿、赤坂山、粟柄峠、寒風と坦々と風を衝いて進んでゆく。眼下にはテントが一杯のマキノキャンプ場、水田の中に一直線に並ぶメタセコイアの並木、更に向こうに琵琶湖が眺められる。
 寒風を過ぎると初めての道である。大谷山から抜土へと下る。ここが今回のコースで最後の水場である。3Lの水を担ぐことにする。急坂を上り、大御影山へ続く尾根の上に出る。
 ここから大御影山までは何度も通った道だ。MTBで走ったこともある。坦々としたブナの樹林帯を行く。大御影山(950m)から尾根筋を下り大日尾根との最低部分で今日の行程を終わりにする。平らな部分で風の少なそうな場所と探してテントを張る。何人か全縦走の若者が先を急いで通り過ぎてゆく。

     
 三国山の小池  明王の禿 赤坂山 
     
 三国山を振り返る  栗柄峠 眼下の眺め 
     
 白山遠望 ヤマエンゴサク   大谷山
     
抜土辺り  抜土辺り   抜土 
     
白とピンクのトクワカソウ 三重岳を望む  キャンプ 



 5/5 今日も快晴、風はだいぶ収まった。6時出発。
 尾根を少し登ると、大日尾根を三十三間山に向かう道とこれから進む三重ヶ岳への尾根の分岐点だ。静かなブナ林の中の坦々とした道を進む。この道は積雪期と新緑の時と二度通ったことがある。雪が深いところなのでブナも変形して面白い形になっている。
 やがて正面に大きな台地状の山塊が見えてくる。三重ヶ岳の一部だ。台地に登ると広大な三重ヶ岳がひろがる。やはり高島トレイルの盟主と云える山容だ。この広々とした処で2、3日テントを張ってノンビリしてみたい。水が乏しいのが玉に瑕だが。でも谷を20分程も下れば水は得られそうな地形だ。遠く西の方には小浜湾とその向こうの富士山の形をしているのは青葉山であろうか。三角点(974m)に立つ。ここでチェコ人の若者と立ち話をする。大阪の大学に留学して語学の研究をしているとのこと。全縦走をするとのことで走るように去って行った。
 こちらはノンビリと次のピークである湖北武奈ヶ岳へと尾根を下ってゆく。かなり大きな池がある。情報ではこれも水場として挙げられているが、これはちょっと。急勾配の坂をコルへと下る。以前ここを登る時ラッセルに苦労したことを思い出す。
 コルから武奈ヶ岳への登り返しとなる。振り返ると三重ヶ岳の大きな山塊が滴るような新緑で覆われた姿を見せている。その左には三十三間山も見えている。湖北武奈ヶ岳(865m)。ここで大休止。ちょうど昼時だが、乾燥食品しか残っていないので湯を湧かさないと食べられない。もう水坂峠まで下るだけだから昼抜きにしよう。一時間ほど昼寝をする。
 さて下ろう。赤磐山西峰まで来る。いつも通った道はここから角川へ下るのだが、高島トレイルは水坂峠へ急降下する。トロリトロリと苦手な急坂の下りを降りて行く。オオイワカガミが花をつけている。今までつぼみしか見られなかったのが初めて満開の艶やかな姿が見られた。下の方に白い花を付けた木が一本見える。何の花かな。近寄ってみるとヤマナシのようだ。満開だ。
 二時半、水坂峠着。実はもう一日余裕があるのだが、一日では歩ききる自信はない。途中で時間切れになると下りるのが大変のようなので、今回はここでお終いにしよう。20分程歩いて保坂で美味しい天ぷらうどんを食べて、バスで今津へ出て今回の山行はお終い。秋か来年のゴールデンウィークにでも後半を歩こう。暑い時に歩く山ではない。

     
大日尾根分岐  ブナ林  三重ヶ岳台地 
     
 小浜湾遠望 三重ヶ岳  三重ヶ岳三角点 
     
サクラ?  ブナ   ブナ
     
三重ヶ岳の池   湖北武奈ヶ岳 三重ヶ岳新緑 
     
三重ヶ岳を振り返る  ブナの新芽  赤磐山 
     
 オオイワカガミ  オオイワカガミ  比良山系遠望 
     
ヤマナシの花  植林地帯まで下りてきた  水坂峠