苗場山・切明温泉ー野反湖
(2018.09)
画面をクリックすると拡大写真に移ります

 七月に谷川岳から平標山まで縦走した後、苗場山に登るつもりであったが体力が尽きて叶わなかった。それで、今回苗場山に再挑戦することにした。まあ、苗場山だけでは物足りないので、秋山郷へ下り、切明温泉から中津川を遡り野反湖に出て、尻焼温泉で川原の湯で尻を焼こう。ホームページに載せるネタがないから出かけてくると言えば、近ごろは家内も文句を言わず出してくれるようになった。75歳になったので、あと数年もすれば、「出かけたら」と勧めても出かける体力も気力も無くなっていると高をくくっているのだろう。まあ、実際そうなるのだろうが。

9月18日(火) 昼頃、越後湯沢に到着。早速、祓川登山口の和田小屋に電話するも、いっぱいだと断られる。この季節の平日に満室?? 駅案内所で紹介して貰い、麓の民宿に素泊まりして、翌朝登山口まで送ってもらうことにする。

9月19日(水) 快晴だ。七時、登山口を出発する。和田小屋はひっそりしている。今日の行程は、まず神楽ヶ峰まで3時間、苗場山山頂まではそこから1時間だ。
 登り出すと、調子が悪い。腰が痛くて、左の太腿が吊る。ちょっと、大台ヶ原大杉谷で腰を痛めたときとちょっと似ている。これは無理は出来ないぞ。スピードを緩めてソロソロと歩く。下ノ芝、中ノ芝、上ノ芝と休み休み登ってゆく。後から来る登山者にはみんな追い越される。もうそれを口惜しいとも思わなくなった。
 振り返ると、カッサダム湖とその向こうに谷川岳から万太郎山、仙ノ倉、平標山の稜線がきれいに見える。
 10時、ようやく神楽ヶ峰。ようやく苗場山と対面する。正面の大きな山容を見せる。

   
 登山道 ニセ神楽? 
   
中ノ芝   上ノ芝
   
カッサ湖と谷川連峰  神楽ヶ峰山頂 
 


  150mほど下って鞍部に達する。雷清水でのどを潤す。200mほど上り返すと苗場山の平原に達する。素晴らしい平原を眺めながらブラブラと山頂を目指す。まだ昼前なので、今日中に秋山郷へ下ることも出来るが、この素晴らしい平原でゆっくりしたい。ヒュッテが空いているならここで泊まろう。今日は9人しか客がいないとのこと。

   
 苗場山への登り  神楽ヶ峰を振り返る
   
苗場山の平原  苗場山の平原  
   
苗場山の平原 (後は佐武流山?)  岩菅山 
   
 苗場山頂 山頂ヒュッテ 

   荷物を置いて湿原を散歩する。タップリ昼寝もする。

   
 北方の眺め  
   
   
   
   
   
   
   
   
 
 

  ヒュッテの裏の展望台で日没を見て、夕食を頂く。カップの酒がうまい。

   
日没(太陽の右は妙高・火打、左の三角は鳥甲)    


 9月20日(木) 天気予報では午後から雨模様とのこと。今日の予定では平太郎尾根を下り和山温泉から切明温泉、渋沢避難小屋で一泊のつもりだったが、平太郎尾根は近年ほとんど通られていないとのこと。みんな小赤沢へコースをとるらしい。まあ分岐点まで行って考えよう。
 湿原の木道を下ってゆく。ドウダンツツジの赤が鮮やかである。もうすっかり秋の景色だ。分岐点。平太郎尾根のコースは踏み跡程度だ。これは迷いそう。遠回りだが小赤沢コースにする。木道が終わると急降下のゴロゴロ道となる。苦手な道だ。三合目まで下ってくると広い駐車場に出る。みんなはここから登るのか。私はさらに90分山道を下らないとバス停に出ない。和山温泉に向かうバスがあればよいが。5時間かかってようやく小赤沢の集落に到着する。バスは1時間後。歩くと和山温泉まで2時間はかかりそう。今日は切明温泉泊まりとしよう。だんだん軟弱になってくる。切明温泉に電話して、三軒ある宿の三軒目でやっと予約出来た。ついでにバス終点までの迎えも頼む。今日は切明温泉の川原の湯も楽しもう。

   
   
   
   
   
 大ゼンの滝 いっぱいに綿毛を飛ばしている (ヤナギかな?)
   
キツリフネ  小赤沢 

 迎えの車に乗ると、雨がパラパラと降り出した。今日の宿は「雪あかり」。
 雨が激しくならないうちにと、早速川原に向かう。脱衣場も何もない。コンクリートの湯船の中は35℃ぐらい、それでも長く入っているとポカポカしてくる。砂の中から流れ出て流れに入っている湯は大変熱いが、なにせ川の流れが大量なので川の中は冷たくて入っていられない。スコップを借りてきて囲いを作ればよいのだろうが、そこまでする気は無い。雨が強くなってきたので、宿に帰り露天風呂に入る。開放的で大変に結構な露天風呂でした。
 同宿者は一人。彼も明日は野反湖に向かうとのこと。一緒に出発しようと申し合わせるが、彼は30代の若者。とても一緒には歩けないだろう。明日は早立ちなので朝は弁当を頼む。

   
   



9月21日(金) 5時半、出発。同行者は少し遅れるとのこと。天候は今にも降り出しそうだ。
 林道を2kmほど歩き吊り橋を渡ると、200m程の急登。道はよく歩かれている山道だ。登り切ると水平歩道が7km続く。この辺りで同行者に追いつかれる。先に行ってもらう。水平歩道というと黒部下廊下を思い出すが、ここは全くスリルは無い。手堀のトンネルを幾つか通り抜ける。対岸に月夜立岩(右)と大岩山が聳えている。振り返ると出発点の切明温泉が見える。紅葉の季節だったらいいだろうな。やがて渋沢ダムに到着する。10名ほどの作業員が工事をしている。写真に見える小屋は電源会社の作業小屋だ。渋沢避難小屋は2、3人がやっと入れる小さな小屋である。コバルト色の川の流れがきれいだ。

   
   
   
   
   

 ここから、西大倉山まで700mの登りだ。雨がシトシトと降ってきた。雨具を着ける。美しいブナの林の中の道だ。落ち葉を踏んでゆっくりと登る。ジグザグに道が切られていて勾配が緩く歩きやすい。至るところ一いっぱいキノコが生えている。ブナの大木にぎっしり生えているのはツキヨタケだ。根元を割ってみると真っ黒だ。あと、ナメタケもあったが今日は採っても仕方がない。
 何処がピークか判らない西大倉山を過ぎると、道は急斜面を横切るようになり若干歩きにくくなるが、幸い最近刈り払いがされたようで助かる。この雨で根曲がり竹が茂っていると悲劇だ。幾つか小谷を横切り、雨で増水していないか心配していた北沢も大したことはなく越えられ、無事地蔵峠に到着する。念のためビバークの準備はしてきたのだが、ここまで来れば一安心。明るいうちに野反湖まで到着出来る。地蔵峠から野反湖側登山口までが意外と長く、上ったり下ったり。登山口まで18km、約10時間かかった。年寄りには堪える。

   
   
   
   
   

 広い駐車場に人気は無く、寒々しい限り。最終バスはとっくに出たあと。トボトボとキャンプ場の事務所まで歩く。ここで先行の若者と出会う。彼は1時間以上前に到着したとのこと。ここのバンガローに泊まるので同宿を申し出てくれたが、とりあえず尻焼温泉に電話してみる。幸い空室があり、迎えにきてくれることで話が付いた。ヤレヤレ。若者と別れて、尻焼温泉に向かう。「星が岡山荘」という宿。北大路魯山人と何か縁があるのかと思ったが、大した関係は無いようだ。なかなかの料理だった。湯に浸かって、疲れを癒やす。


 

9月22日(土) 朝飯前に早速尻焼の湯に入りにゆく。宿の少し上流に湯があった。尻が焼けるほどのことはないが、川底のあちらこちらから湯が湧いていて、実にノンビリと湯が楽しめる。1時間ぐらいは湯に浸かっていた。
 長野原草津口行きのバスは尻焼温泉から10分程歩いた下流の花敷温泉から出ている。ブラブラとバス停まで歩く。今日は快晴だ。路傍には野の花が咲いている。
 花敷温泉は若山牧水の「水上紀行」に出てくる温泉で幾つか歌碑が立っている。牧水はここの露天風呂を楽しんでいるが、残念ながらここの一軒宿は日帰り湯をしておらず、泊まらないと入れない。

   
 尻焼の湯 ツリフネソウ 
   
?   牧水の歌碑