大峰山系「天女の舞」
2019.02
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天川村川合から大峰弥山に登る栃尾辻コース上に、何時の頃からか「天女の舞」と呼ばれる場所がある。絶景の雪景色が見られるらしい。2003年2月にここを通過しているはずだが、その頃にはまだ名前が付けられていなかったのか全く気がつかずに通り過ぎている。ガスっていたのかも知れない。天気予報によると、今日は快晴で冷え込みそうだ。霧氷を見るには絶好の天気だ。
早朝、自宅を出発。2時間ほどで、川合の天川村役場に到着。駐車場に車を停めさせてもらう。
7時、出発。役場の裏の杉林の中を登ってゆく。この辺り、雪はほとんどない。8時過ぎ、標高1000mの尾根の上に出る。さらに1時間で1200m、坪内から上がってきた林道と出合う。この辺り、木々は霧氷を着けて真っ白であるが、地上の積雪は数センチほどだ。10時半、栃尾辻(1350m)に到着。歳を取ったな。大分ペースが遅い。栃尾辻小屋は昔のままのようだが、16年前と変わらぬはずはないので少なくとも一度は建て替えたのだろう。下は土間になっていて、前回はここでツエルトを張って一泊したが、ランプを忘れて暗闇の中で手探りで食事をしたのを思い出した。
アイゼンを着けて、歩き出す。雪の深さは20センチほど。スノーシューを担いできたが、今日は出番がなさそうだ。霧氷を着けた木々の中、なだらかな尾根を30分程歩いて行くと夏道は1518mのピークを捲いているが、天女の舞はここから尾根を少し上がったところらしい。
やがて、広く開けた場所に出る。ここがお目当ての「天女の舞」らしい。確かに霧氷は美しいがそれほど感激的かな? これだったら、大台山系の明神平とたいして変わりないな。
ところが突然日が射し、霧が晴れて前面が開け、正面に稲村ヶ岳が聳えその前の尾根の霧氷が純白に輝きだした。ああ、これが「天女の舞」か。確かにここは天人が舞うにふさわしい舞台だ。
近くにハイカーが一人写真を撮っている。話しかけると彼は今年になって四回も登ってきてやっとこの景色が見られたとのこと。一発で見られるとはラッキーなんだ。昼食を摂りながら、しばらく陶然とこの景色を楽しむ。
やがて、雲に陽が遮られると輝きが失われくすんだ雪景色となる。まあ、それでも充分美しいのだが。しかしここまでか。
1518mのピークを越えて、次のコルから金引尾根を下ることにする。この尾根を登るのが天女の舞に来る最短コースらしく、近年登山者が増えているようだ。
急坂を下り出す。踏み跡が明瞭についている。久しぶりに履いた冬用の登山靴で足にマメが出来、」びっこを引きながら下ってゆく。
途中の谷間に変わった岩がある。小さな支点の上に微妙なバランスで岩が乗っている。岩の上に木が生えているところを見ると大分古くからあるようだが、この地震の多い日本で存在し続けるとは不思議である。
足の痛みに耐えながら、ソロソロと下りようやく林道に出、さらに少し歩いて熊渡で国道に出る。川迫川の渓流を楽しみながら約一時間で出発点に帰ってきた。丁度5時だった。
予定より大幅に時間がかかったが、それは半分は年のせい、後の半分は足のマメのせいだ。しかし楽しいハイキングだった。