山陰海岸カヤック紀行(2003夏)
浦富海岸と但馬御火浦

  2019年、後期高齢者になったので、屋根裏のがらくたを処分する気になった。これからいろいろ片付けなければならぬが、まず最初にホールディングカヤックを始末しなければならぬ。もう四十年も前に買ったもので、ここ十五年ほどは屋根裏に放り込んだままだ。さすがにもう漕ぎ出す元気はない。庭で組み立ててみると、まだまだ充分に使用に耐えそう。オークションに出すと、幸い引き取ってくれる方が現れた。可愛がってくれればよいが。

   

 

 昨年12月は何処へも行かなかったので、書くことがない。そこで、昔の記録を書こう。
 鳥取県岩美町網代漁港でカヤックを組み立て漕ぎ出す。午後1時。午前中の激しい雨は幸いにも収まった。港を出ると波は少し高いが快適である。海岸沿いに東へ向かうと名勝、浦富海岸だ。褐色の岩に所々洞門が開いている。海崖を過ぎると浦富の砂浜だが、沖合をまっすぐつききって羽尾鼻を目指す。ここには龍神洞という洞門があるらしいが見落とした。羽尾鼻を廻り込むと大羽尾漁港だ。少し早いが今日はここまで。漁港の広場にテントを張る。大体10キロ程漕いだかな。集落まで散歩するが、何の店も見当たらない。
 夜中に突風を伴った激しい雨。テントのフライが飛ばされて、びしょ濡れとなる。幸い20分程で収まったが、この風雨に海の上で出遭っていたらちょっと恐いことになっていたかも。寒冷前線が通過したのかな。

   
   
   

 今日は快晴。濡れたものを乾かして、出発する。ひたすらに漕ぐ。舟の横を大きなコウイカが泳いでいるが獲るすべがない。昼頃に浜坂の沖を過ぎる。ちょっと船酔いでフラフラしてきた。小さな浜でラーメンの昼食、昼寝。
 元気が出てきて、但馬御火浦の崖の下を進んでゆく。
 三尾の泊にちょっと寄り、大島との間を通り過ぎる。岩にキスゲ(?)やオニユリが可憐な花を咲かせている。遠く正面に海に突き出た岩の半島、鋸岬が見えている。

   
   
   
   
 車状の柱状節理  
   

 鋸岬の根元に滝が落ちている。へさきの方へ漕いでゆくと真ん中に大きな丸い洞窟が向こう側まで突き抜けている。旭の洞門というらしい。鋸岬を過ぎると其の先には世界有数(?)の巨大な釣鐘洞門がある。入り口が2つ、中で繋がっている。なかなか神秘的である。
 鐘釣洞門を出て伊笹岬を廻り込み進んでゆくと餘部鉄橋が見えてくる。
 夕方近くなってきた。.どこかでもう一泊して、鎧港から香住まで進んでもよいがちょっと疲れてきた。今回はこの辺でお終いにしよう。餘部の漁港にカヤックを揚げ、山陰線の列車で岩美駅まで車を取りに引き返す。
 その夜は余部の隣の鎧駅に車を停め、一泊する。何年か前のNHK朝ドラ「ふたりっ子」のロケ地だったので、ちょっと寄ってみたかったのだ。

   
旭洞門   
   
釣鐘洞門入り口