扇ノ山大周回サイクリング2020.04
 


 昨年末の台湾環島サイクリング以来、全然自転車に乗っていない。啓蟄もとっくに過ぎて、腹の中の自転車の虫がムズムズと動き出している。このままでは体力の衰えが進みそう。ところが、コロナ禍のせいで県外へ出るのを控えるようにと云うのが現在の風潮だ。しかし、大阪府に住んでいるとちょっと走るともう府県境を超えてしまうし、大体府内で走りたいと思うところは残っていない。 
 そこで、自動車を使っての輪行で、昨年走った扇ノ山を大周回することにした。これなら車の中で寝られるし、道中での他人との接触もなく、まあ心配するようなことはないだろう。
 扇ノ山大周回は標高差700mの峠をはじめ、いくつもの峠越えがある約100kmの相当ハードなコースでなまった身体ではちょっと自信がない。そこで前日に軽めのコースで身体を慣らして本番に向かうことにした。

4/21(火) 佐用−龍野−上郡周回
 早朝、中国自動車道佐用インターを出たところから、出発。R179を東に向かう。交通量は多くなく走りやすい。ちょっとした登りの佐用坂を越え、徳久トンネルを避けて旧道を下り、姫新線に沿って志文川を遡る。やがて三日月。ここは森氏一万五千石の城下町だ。陣屋の門が復元されている。森氏といえば森蘭丸ぐらいしか知らないが、美作津山で十八万石の領主だったが後に改易されて、三つの小藩に分けられたらしい。その一つが乃井野三日月藩とのこと。こぢんまりとした街を抜けて相坂峠を越えると千種川水系から揖保川水系の栗栖川に下る。千本本陣跡。外側だけを見る。今日、通っている佐用から龍野までの道は昔の出雲街道なんだ。2017年の秋、この一部ウナギ道を走ったことがある。

   
R179   志文川 
   
姫新線   田園風景
   
三日月藩陣屋跡   陣屋庭園跡


 播磨新宮から南下して、揖保川の土手を走り龍野の町に入る。城跡を見学して、名物のソウメンを食べたいと思ったがお城近くの名店はコロナで休店中。小京都の佇まいの町中を走って県道5号線を真西に走る。二木峠、椿峠を越えて上郡の町に入る。ここは千種川本流に沿った町だ。ここもコロナのせいか人通りは少ない。

   
栗栖川  揖保川の堤防を走る 
   
レンゲの春  揖保川 山の向こうは龍野の町 
   
龍野城   龍野の町遠望
   
 屋敷町 二木峠の地蔵 
   
 二木峠の地蔵   路傍のサクラソウ
   
 椿峠  峠のヤブツバキ


 千種川を遡れば自ずと佐用町にもどれる。智頭急行と並んで千種川を遡行する。鍛冶(かじ)宝篋印塔の標識が出ている。ちょっと寄ってみよう。南北朝時代に作られたものらしい。もう少し走ると赤松という集落。対岸に河野原円心駅という変わった名前の駅がある。きっとこれは南北朝時代のこの辺りの大名、赤松円心にちなんだものだろう。宮本武蔵駅とか智頭急行には変わった駅がある。支流の佐用川に入ると終点はもう近い。

   
千種川  鍛冶宝篋印塔 
   
智頭急行の線路  佐用川 


 約80kmの走行だった。
 すぐに翌日の出発点となる鳥取県の若桜に移動し、町の対岸の公園駐車場で一夜を過ごす。

走行ルート
グーグルマップhttps://www.google.com/maps/d/edit?hl=ja&hl=ja&mid=1WiPYXbf-OVdkFfO9p4BZJ2WnWN8SZ3H0&ll=34.93121372461856%2C134.43887400000006&z=12

4/22(水) 扇ノ山大周回
 6時出発。もの凄く寒い。十分に着込む。最初に走るのはR482(宮津市から米子市まで山岳部を繋いで走る333kmの国道)の一部である。これを全部走るのも面白そうだ。標高950mの鳥取・兵庫の県境までは約700mの急登である。2015年の7月に登ったことがあるので2度目である。R482に入ってすぐ正面に見える山は高山かな。舂米(つくよね)川を遡ってゆく。新道と旧道の分かれ目で今回は旧道を取って茗荷谷集落を通ってみる。まだ桜が満開だ。舂米・氷ノ山スキー場を経由して峠に到着。2℃、寒い。

   
 長砂集落と高山 この道は旧伊勢街道 
   
 舂米(つくよね)川 茗荷谷の桜 
   
茗荷谷集落   舂米集落 
   
氷ノ山スキー場   県境の峠


 以前はここから先は通行止めだったが、今回は通れるようだ。ガタガタ震えながらの急降下。指先が痺れる。路面を水が流れている。滑ると恐いぞ。前回、崩落して不通だった場所に出る。見事に土砂崩れの防壁工事が出来ている。これは一年以上かかったろうな。

   
峠からの下り  小代渓谷 
   
 崩落跡 5年前の土砂崩れ直後 


 矢田川の渓谷を抜けると集落に出た。秋岡だ。ずっと川沿いに下りR482がR9に合流する手前で熊波から柤岡(けびおか)へと急登の道を登る。集落の人に地名の由来を聞くと柤(けび)とはケンポナシのことでこの辺りにたくさん生えていたらしいとのことだ。ケンポナシは名前は知っていたが見たこともないし食べたこともない。結局350mの上りで柤大池につく。この辺りアラレが激しく降っている。

   
里が近い  秋岡 
   
 柤岡への上り 柤岡集落 
 
 アラレが降りしきる 柤大池 


 走っている道は但馬アルペンロードというらしい。高原の気持ちの良い道だが、もう少し後で新緑の頃だったなら素晴らしいのに。道路脇に大きな慰霊碑がある。昔、神戸と湯村温泉の間に旅客輸送のヘリが飛んでいたらしいが、それがこの上の山に激突して8名の犠牲者が出たとのことだ。あとは北に向かって田舎道をR9まで大下り。少しあたたかくなってきて気持ちよく飛ばす。R9を西南に鳥取県の県境へと走る。あまり広くない国道にトラックがおおく、歩道をシコシコと漕いで進む。

   
ヘリ墜落慰霊碑   大峰山 この山に激突した
   
こんな格好で走りました  但馬アルペンロード 
   
 R9の風景  R9歩道を走る


 県境の蒲生トンネル手前から旧道の峠越えに入る。広い道で150m程の上りだが大分へばってきているぞ。蕪島まで下り、今度は十王峠越えに挑戦だ。林道クラスの細い道だが舗装はしっかりとしている。落ち葉の道を200mの上りだが勾配はゆっくりとしている。十王峠を越えるとここは国府町雨滝。予定ではここから更に3つ峠を越えて若桜まで帰るつもりだったがもうとてもそんな元気はない。緩やかな下り道で殿ダムを過ぎ、最後に小さな峠を越えて八頭町に入る。郡家の町に入ると丁度80km。喫茶店でお茶を飲んでいると、もうこれで十分という気になった。あと20kmほど残っているが、ここに自転車を残して、若桜鉄道の列車で帰ろう。

 
県境 蒲生峠  十王峠への道 
   
十王峠の上り  十王峠 
 
殿ダム  路傍の石仏 


この鉄道も乗ったことがないのでこれも一興だろう。なんと、下校の高校生がいっぱい乗っている。鳥取県の高校は休みに入っていないんだ。鳥取はコロナ患者が出ていなかったかな。

   
 若桜鉄道 クラシックな内装 若桜駅 


走行ルート
グーグルマップ:https://www.google.com/maps/d/edit?hl=ja&mid=1YUBdmUyaSqAGvHi4VkQef6nMlqOpu3uH&ll=35.446212798481476%2C134.40251749999993&z=11
次の日は人形峠から高清水高原トレイルを散歩したが、書くほどのものではなかった。