北摂妙見山−歌垣山縦走ハイキング
(2020.05.08)

 コロナ猖獗のせいで、他府県に出るのが気が引ける状態だし、公共交通機関に乗るのも不安ということで、車でちょっと出かけて日帰りハイキングがせいぜいということになった。
 私の住んでいるのは大阪市の北側、豊中市である。ここから出かけやすいのは、大阪府の北側に連なる北摂丘陵だ。丘陵であるからたいして高い山はない。最高でも標高800m以下である。大阪府の地図を見ると、北西に飛び出した地域がある。能勢町だ。鉄道は来ていない。車を持っていれば大阪市内への通勤も不可能ではないにしても、ここまで来ればさすがに辺境の地的な雰囲気はある。
 能勢町と豊中市はなぜか関係が深いみたいである。例えば能勢町の消防は豊中市が請け負っている。小さい自治体では自前の消防は持ちきれないらしく、豊中市が分署を置いている。また、以前の能勢高校は今では豊中高校の分校になっている。豊中市との間には池田市とか箕面市などがあるのにね。

 さて今回は、その能勢町にある妙見山から妙見山奥の院、歌垣山までの縦走だが標高5、600mの山々で年寄りの私でも軽いハイキングだ。
 朝、妙見山西麓の黒川地区知明湖畔に車を停めて出発する。アレ、ここは兵庫県だ。ブラブラと黒川集落を抜けて、上杉尾根登山口に向かう。ケーブル駅入り口を抜けて池を回ると登山口だ。

   
旧黒川小学校   モチツツジ
   
カワラサイコ?  登山口 

 ここから山頂まで約400mの尾根道だ。初めは急な上りだがなだらかな道でよく踏まれて歩きやすい。展望もよいところがあり大阪市内が望める。一時間ほどで山頂。妙見山の寺院内はコロナのため立ち入り禁止で人影はない。縦走路は寺の境内をとおっているため、やむなくドライブウェイを少し下って裏口まで遠回りする。

   
  大阪市内遠望 
   
 ヤマツツジ 新緑の尾根道 
   
快晴  山頂 寺院裏口 

 ここからはちょっと陰気な林の中の激下りだ。途中に法華経寺大杉堂という廃寺跡があるがちょっと気味が悪い。更に下ると大瀧寺という少し大きな寺がある。見上げると一條の水が落ちており滝行が行われる場所のようだ。ここは妙見宗という明治以降に出来た新興宗教の寺のようで、山頂の日蓮宗の能勢妙見宮とは関係ないようだ。大瀧寺の出て急な石段をくだると、野間峠から下りてきた府道4号線に出る。この道路が能勢町を大阪府と繋いでいる唯一の道だ。他の道は他府県を経由する。

   
 大瀧寺  

 次は妙見山奥の院を目指す。車道を少し下ると野間大原集落へ通じる小径がある。鳥居がある。妙見信仰が神仏混淆だった名残だろう。暫くなだらかな小径を行くと野間大原の長閑な風景の中に出る。

   
奥の院へ通じる道の入り口   
   
竹の秋  野間大原 

 野間大原から道は小さな谷沿いに北へと進む。小石がゴロゴロとして歩きにくい。20年以上前、自転車を押して奥の院へ行った記憶があるがこんな悪路だったかな。昔は元気だった。静かなため池の横を通って、脇道をピークに上ると奥の院がある。

   
ため池  妙見奥の院 

 もとの道に戻り、反対側に下ってゆくと舗装路に出る。この道を南に行くと地黄湿地がある。大阪府下では珍しい湿地らしいのでちょっと覗いてみるか。二度と来る機会もないだろうから。1kmほどコースから外れて南下する。何の変哲もない小さな湿地だ。モリアオガエルがいたり、夏にはサギソウが咲いたりするそうだが今は何もない。バックして北に向かうと堀越峠だ。西側の倉垣から上るとサイクリスト泣かせの北摂丘陵ではもっとも急勾配の坂道だ。東に下ると亀岡市の犬甘野に出る。
 峠をクロスして歌垣山への急勾配の坂を上る。すぐに頂上だ。なんと言うこともない小山だが、古代から若い男女が集まりかがい(歌を歌い合って求愛する)を行った地として知られている。
 予定ではもう少し北まで尾根を辿るつもりだったが、地黄湿地なんかに寄ったため時間オーバーだ。ここから倉垣に下ることにする。

   
地黄湿地   歌垣山への登り
   
 歌垣山山頂(女山) 妙見山遠望 
   
かがいの広場(男山)   倉垣への下り

 下っていると下の車道をバスが走っているのが見える。あのバスが帰ってくるのに乗らないといけない。急がないと間に合わない。ああ、乗り遅れた。次のバスは? 二時間後だ。歩いても時間は変わらない。
 倉垣から地黄、地黄は旧道を歩く。ここは池田から亀岡への古くからの街道筋だったようで立派な古い民家が狭い道を挟んで並んでいる。生け垣に純白の大きな花に見とれる。茶の園芸品種かな。
 村人との立ち話。「のどかな所ですね。コロナなんて全く関係ないでしょ」。「能勢町で感染者が3人でた」とニコニコ嬉しげだ。それほど隔絶した地域でもないよという意味なのかな?

   
歌垣山を見上げる  茶の花かな? 
   
ヤマフジ   野間のバス停

 野間を過ぎて、大槌峠から先月見た黒川エドヒガンザクラの森に下る。先月には裸だった台場クヌギがもう青青とした枝を伸ばしている。

 
台場クヌギ 

 もう出発点はすぐだ。路傍に駐めた車は無事かな。無事だった。
 今回は丁度25kmの歩行距離だった。

歩行地図