台湾環島サイクリング

2019.12

 トライアスロンが趣味の娘から二週間休みが取れたので台湾環島サイクリングをやらないかとのお誘いがあった。まことに親孝行の娘であるが、遊び相手がいないのではと一寸心配にもなる。
 台湾を一周する環島サイクリングは全長約1200km程あり10日以上かかる。さすが世界的自転車メーカー、ジャイアントを擁する台湾だけあり、自転車道はよく整備されているらしいが、この長丁場を走りきれるか自信はない。しかし折角の誘いなので頑張ってみることにする。
 旅の手配はすべて娘に任せる。自転車はレンタルで、Mathew Bikeという台北市内の小さな自転車屋で借りた。本当はジャイアントがいいのだが、手続きがややこしいらしい。

12/04 関空発エバ航空で桃園着。台北のホテルで東京から来た娘と落ち合う。台北は雨で気温13度と台湾にしては大変寒い。

12/05 本当は今日から出発したいのだが、自転車屋が休みで明日の昼まで店が開かないらしい。今日は一日台北観光だ。天気予報ではこれから数日、台北は冷たい雨が続くようだ。
 午前中は故宮博物院を見物する。私は今回で4度目だが、娘は初めてらしい。台北には何度も遊びに来ているらしいのに。白菜の彫り物などはパスして、書画と焼き物だけを見る。北宋の四大書家とか宋代の青磁器は何度見ても引き込まれる。
 その後、淡水までMRT(電車)で行き、淡水老街で昼飯やらちょっとした食べ物、お茶を楽しむ。ここは夕陽が美しいがこの雨では望むべくもない。 

12/06 相変わらずの雨である。昼前にMathew Bikeに顔を出すと、自転車を用意してくれ、環島サイクリングの注意事項などの説明を受ける。パニアバッグに荷物を詰め、余分なものは自転車屋に預けいよいよ出発であるが、もう2時過ぎだ。この雨の中、喧噪の台北の街を通り抜けるのがちょっと恐いし、この時間からではたいして走れそうにないので、80km先の新竹まで列車で行くことにする。台鉄(台湾の国鉄)の鈍行列車は自転車をそのままで積み込める。4時過ぎの列車に乗り込んで新竹に向かう。高鉄(新幹線)だと、40分ぐらいのところだが、3時間ぐらいかかってすっかり暗くなって到着した。
 普通、環島サイクリストはゲストハウスなどの安宿に泊まるのだが、今回は可愛い娘同伴ということもあって、やはりトイレ、シャワー(出来ればバスタブ付き)の中級ホテル選択する。それでもツウィンで8千円ぐらいだ。
 夜は夜市の屋台で食べる。なかなか旨いのだが、こういった所は酒どころか水も提供しない。

   
出発 自転車屋夫妻と  新竹夜市 


12/07 新竹〜台中 97km
 朝7:00出発、外は冷たい小雨だが、本日の目的地台中の予報は晴れで南下するにつれて天気が回復するという情報だ。1時間もしないうちに、雨は上がり空には虹。
 高雄まで通じる幹線国道に巾2m程の自行車(自転車)と原付が走れる環島1号線という環島用のレーンを海沿いにひたすら南下する。台中への幹線国道はフラットで走りやすい上に、強い追い風だ。しかし、あまりにも単調だ。

     
自転車用標識の色々 

 途中から海岸沿いの田舎道に入る。風情のある漁村や路傍の媽祖廟(道教寺院)に寄り道したり、そして時には行き止まりに迷い込んだりしながらノンビリ走る。地図は、私はジオグラフィカ(googlemapに乗っている)、娘はgooglemapのルート案内(娘はgoogle先生と呼んでいる)を付き合わせながら走る。まさにgoogle先生様様である。
 やがて台中エリアへ到着。本当は台中市街に入りたかったのであるが、間違えて20kmぐらい離れた台中港近くのホテルを予約してしまった。間抜けな娘だ。折角だから近くの台湾のウユニ湖と呼ばれる高美湿地へ立ち寄る。吹き飛ばされそうな強風が吹くも、景色は壮大で素晴らしい。幸いホテルは安くて上等だ。

     
 風が強い 一休み  先行する娘 
     
漁村風景 
     
媽祖廟  高美湿地

 夕食は見物を兼ねて近くの三井アウトレットパークに寒い夜風の中歩いて出かける。レストランは当然ほとんど日本食、やっとガラガラの中華風を見つけて入る。こんなところでもそこそこ旨い。

12/08  台中〜嘉義 109km
 今日も晴天。台湾西海岸から少し内陸に入るルートで、ゆるやかにアップダウンを繰り返すコース。相変わらずの追い風で気持ちよく走る。
 娘は「地球の歩き方」と首っ引きで、近くの彰化で扇形車庫と転車台を見たいという。こういう県庁所在地クラスの都市の古い通りに入ると、狭い道で自転車専用レーンもなくスイスイ追い抜いていく原付に囲まれて、ひたすら前に進む。それとやたらと信号が多い。

 

 ようやく、目的地に到着。えらい時間がかかった。しかし、蒸気機関車が一台、これは数十メートルほどだが実際に動かしている。周りの扇形車庫にはずらりとディーゼル機関車が収められていて、なかなかの見物である。日本にもこれだけの施設は残っていないのではないかな。

   

 その後はフラットなコースをただただ走る。雲林と嘉義の県境にある長い橋をわたったり、田園風景を楽しんだり。

   
台湾第一の大河、濁水渓を渡る西螺大橋   路傍の花?

 娘はだいたい到着3、4時間前にBooking.comか何かでホテルの予約をする。今日はきっちり嘉義市街のホテルを予約してもらう。距離の割には時間がかかって、到着が夕方になってしまった。予定していた嘉義市街の見物は明日の朝にしよう。
 晩飯は嘉義名物の鶏飯。なかなか美味しいのではあるが、ちょっとお粗末な感じ。親子丼の方がよっぽど豪華に見える。

 


12/09 嘉義〜台南 82km
 環島案内では次の宿泊地は高雄を薦めているが、台湾第二の都市とは云え、工業都市で見所は少ないし、市街の交通は混雑しそうなので、手前の台南市までとする。台南は台湾最古の町と云えるし、見所も多い。
 早朝、嘉義の街を散策してからのスタート。嘉義は戦前日本人が多く住んでおり、阿里山の木材の集積地として栄えたところである。また1930年代に嘉義農林が甲子園で準優勝ことも有名(映画にもなった)。
 まず嘉義公園。広大な敷地には旧嘉義神社の社務所が残っており、阿里山の山中を思わせる鬱蒼とした森林は素晴らしい。多くの市民が散歩、ランニング、体操をしている。次いで旧林業職員の日本家屋をリノベした商業施設、阿里山鉄道の駅を見物。阿里山鉄道に乗るのは次に機会だ。次の機会はあるかな?

   
旧嘉義神社社務所   嘉義公園の樹林帯
   
 ブーゲンビリアかな? 阿里山森林鉄道北門駅 

 今日は晴天、台北で寒さに震えていたことが嘘のような、炎天。走っていると、風を受けて涼しいが、信号などで止まるとジリジリ焼かれる。これが本来の台湾だ。
 路傍で菱の実を売っている。少量売ってもらう。ホクホクして栗に似ている。娘は初めてらしい。それと台湾中至るところに見られるのは路傍の檳榔の実を売っている露店だ。聞くところでは、覚醒剤のような作用があって疲労回復に効果があるとのこと。肉体労働者が使うとのこと。道路沿いにこれだけの店があると云うことは、タバコ以上に愛用者がいるのではないかな? トラックの運転手などはお得意様なのだろう。

     
菱の実  菱畑   檳榔の売店

 道も舗装はされているが、ざらつきのある路面が続き思うほどスピードが出ない。娘に牽いてもらって、私はノンビリ走る。途中ローカルな風景に癒されながらも、台南に着いた時にはへろへろ。
 台南では赤?楼(オランダ風建築の小城)を見学して、「地球の歩き方」で見つけたおいしいチマキを食べて、静かな港町の安平に宿泊。港に沈む夕陽が印象的である。

   
 安平市街 安平港夕景 

 夜の安平散歩。媽祖廟をお参りして、裏の安平古堡(オランダ時代の要塞跡)に向かうも、もう閉まっていた。延平老街をウロウロして娘はフルーツのシロップ浸けの店を探す。これはこのあと、疲れた時の元気づけとなった。
 最後に海鮮料理で夕食。ここにはビールを置いてあったが、周りを見渡しても酒を飲んでいる客はいない。

12/10 台南→ 枋寮 116km
 今日も晴天。
 朝は台南の北方にあるGoogle Mapで網目のようになっている不思議な地形が気になり、そこを廻ってから南に向けて出発。網目状の地形は沢山の養魚池だった。
 高雄はパスして、直接高雄の南の海岸を目指す。環島1号線が高雄に入る手前から東に外れて地方道を走る。娘がGoogle Mapで高雄の南の小さな枋寮という港町までのルート検索、それも徒歩でのルートを検索すると、超ローカルなルートが提示される。娘に先導されて、訳も分からず村の路地のような小径をクニャクニャと走る。広い国道を走るより時間はかかるのだろうが、人々の生活が垣間見られて面白い。集落の中心部の道教寺院の前の樹木の木陰で一休みする。

   
小さな集落の立派な廟とその前の広場の樹木 

 台湾南部の大河、高屏渓を渡ると屏東県に入る。正面に台湾脊梁山脈が見えてくる。3000m級の山が聳えている。潮州で右に折れて南下する。

   

 台湾では今コンビニ文化が花開きつつあり、市街地、交通量の多い道路には必ずセブン、ファミマが店舗を構えている。ほとんどの店にトイレ、休憩用のカウンターやテーブルが備えられており、サイクリストの憩いの場となっている。日本の道の駅の代わりの役目もを果たしている。
 今日の宿泊は高雄の南の小さな枋寮という港町。ここで、海に落ちる夕日をみたかったのだが、残念ながら間に合わず。到着した時にはすでに落ちたあと。でも、夕闇に浮かぶ漁船はとても美しい。

   
町に入る前に陽が沈む   町のシンボルマーク

 晩ご飯はホテルの人が教えてくれた、街一番の高級シーフードレストラン。メニューがなく、魚と野菜をショーケースから食べる食材を選んで、調理方法を指定するスタイル。カエルも並んでいた。身振り手振りと翻訳ソフトを駆使してのオーダー。これも娘に一任。昨日と二日続けて海鮮料理だったがどれも美味だった。

   
チヌのようなのの後半分だけ貰う  ワタリガニ、一番大なのを選ぶ 
   
この他、エビ、野菜炒め(コゴミに似たもの)、ご飯、ビールで6000円



12/11 枋寮→墾丁 81km 
 今日も快晴。本日の目的地は台湾最南端のリゾートエリア墾丁である。距離は60kmと短いがこれ以上進むと適当な宿泊地がない。
 台湾は中央に山岳地帯がある地形だが、南に行けば行くほど山と海が近づいてくる。墾丁までのコースは海沿いを走るのだが、山が迫っっていてアップダウン多い。おまけに暑い。しかし、坂を登って眼下に海を見下ろすと爽快である。

   

 墾丁の手前で恒春に入る。古い門を入ると恒春古城で古い町並みが続く。この町は映画「海角七号」のロケ地としても有名だ。「地球の歩き方」で探し出したかき氷屋で元気をチャージし、再び墾丁を目指す。

   
 恒春の一角 恒春古城西門 

 昼過ぎに墾丁に到着、ビーチ沿いのペンションに宿をとる。目の前におだやかなビーチが広がるが、シーズンオフのため人はまばら。
 荷物を下ろして、墾丁西部の国立公園に再びサイクリングへ。断崖絶壁の猫鼻頭、龍鑾潭バードサンクチュアリ、夕陽の名所の関山まで登ったが曇りで見えず。まあ、この散策はなくても良かったか。

   
猫鼻頭  関山で咲いていた花? 

 帰り着くと真っ暗で、シーズンオフの観光地は店を閉めるのも早い。やっと一軒だけ開いていたイタリアンレストランに駆け込む。意外と旨かったし、初めてワインが飲めた。
 目的地までは近かったものの、今日もトータル80kmの走行。

12/12 墾丁→金崙 125km
 昨日、スマホで天気予報を見ると今日は渦巻きマークの強風の予報。今日はきついぞ。
 少しでも時間を稼ぐため5時出発。台湾最南端の鵞鑾鼻岬で日の出を見よう。娘はこんな暗い早朝から走り出す経験はないらしいが、私にとっては普通。昨日の穏やかな海とはうって変わって、突風が吹き荒れていて自転車がなかなか前に進まない。やっとこさの思いで岬に到着した時にはすでに陽が上がっていたが、目の前には荒々しいが神秘的な風景が広がっていた。強風にもてあそばれてカモメの群が荒波の間を飛び交っている。

   
   
鵞鑾鼻岬の朝


 さあ、これから北上。岬を東に廻り込んで稜線に出ると、とたんに強風に見舞われる。海側からの横風だ。フラフラしながら何とか走行する。しかし、岩だらけの海岸線に激浪の打ち寄せる景色は豪快である。

   
龍磐公園 

 暫く海岸線を走って、川沿いに内陸部へと入って行く。結局、海抜0→100→0→200→0→150→0→450→0と海岸、山間を交互に走る。それぞれの登りは大したことはないのだが疲労は蓄積されてくるし、平地でも風のためスピードは出ない。
 これまでは細い地方道だったが寿?(旧寿峠)、標高400mで幹線国道と合流する。これから海岸線まで下るが、もう3時半、まだ宿のある金崙まで40km。
 真っ暗になって老眼にはよく見えないうえに狭くなった自転車レーンを必死に漕いで、6時半ようやく金侖に到着。娘はまだ元気なようだが、老体はフラフラ。
 セブンの店員に教えてもらって、町中の温泉民宿に飛び込む。なんとこれが日本人経営だった。もうほとんどの食堂は閉まりかかっているので、主人におすすめの食堂を電話で予約してもらって出かける。牛肉麺と水餃子。旨い。
 日本で調べていた情報では温泉は町から少し山の中に入ったところにあるとのことだったが、昨年町の真ん中でも温泉が出たとのこと。大きな浴槽に透明の温泉がタップリ、筋肉のこわばりが融けて行く。

   



12/13 金崙→鹿野 81km
 昨日の激走のため、本日はゆっくりの出発。宿の日本人のオーナーさんと談笑してから出発。40年以上前に台北の大学に留学中、台湾人の奥様と出会われたとのこの。台北出身の女の子だと思ったらこんな田舎の出身でびっくりしたよーと笑っておられました。
 今日も晴天。昨日の強風が嘘のような穏やかな海。

   
金崙温泉郷  海岸線を北上 

 海沿いを北上し、台東へ。台東は、西側の県庁所在地と比較するとコンパクトで少し走ると田園風景が広がっている。旧台東駅(今は公園とサイクリングロードになっている)を少しぶらぶらして、さらに北上。
 今が最盛期か、路傍の店先には釈迦頭がいっぱい並んでいる。一個買って食べる。種のまわりにタップリ付いた果肉がねっとりとしてとても甘い。

   

 午後からは台東の北の山間台地にある龍田村を散策。紅茶をはじめとする茶畑やパイナップル畑がひろがるのどかな村。美しい並木道をノンビリ走る。戦前は日本人の開拓村だったのか日本式の神社が再建されている。茶店で自家製のお茶を一服する。

   
 鹿野神社  並木道
   
ススキが原   茶畑

 今日も温泉に泊まりたいとグーグル先生に相談すると、幸いこの台地を下った鹿野に鹿鳴温泉というのがある。少し近いがここにしよう。
 立派なリゾートホテルである。温泉は日本式に男女別の大浴場があり、当然ここは水着を着けずに入れる。部屋にも温泉が出る。結構大勢の団体客がいるのに、大浴場はガラガラである。台湾人はスッポンポンになるのは好きでないのかな。
 夕食はビュッフェスタイル。もの凄い種類の料理。みんな珍しくて旨い。

12/14 鹿野→光復 113km 光復→花蓮 (列車移動50km)
 6時出発。まだ暗い。目的地は160km先の花蓮だ。台東と花蓮の間には海岸沿いのルート(花東海岸公路)と中央山脈と海岸山脈のの間の平地のルート(花東縦谷公路:鉄道沿い)の二つがあり、それぞれ美しいらしいが、今回は山間ルートを選択している。山間と云ってもほとんど水田の広がる平原を走るなだらかなルートだ。

 
花東縦谷公路を行く 
   
朝靄の海岸山脈   広い平原
   
ちょっと休憩  並木のある環島一号線 

 ひたすら北上。
 途中、駅弁やコメどころとして有名な池上に出る。案内板に「金城武樹」とある。エバー航空のCMで金城武がこのあたりの稲穂の中をチャリンコで走り、木陰で麦茶を飲んだらしい。ちょっと寄ってみる。気持ちの良い場所で、サイクリングにもってこいの場所だ。貸し自転車屋も多く、サイクリングを楽しんでいる観光客も沢山いる。 ミーハーの娘が「地球の歩き方」で見つけたおいしい豆乳を飲んで、池上弁当を買って、次の玉里を目指す。

   
 金城武樹  辺りは池上米の産地
   
池上弁当 

 玉里は山間の街、広場ではもうお正月のモニュメントの準備が始まっていた。広場で池上弁当ランチタイム。日本のお弁当のようにきれいにゾーニングされていないものの、肉、野菜、卵がバランスよく入っていて美味しい。
 150m程の急な登りがある。娘について行けない。下りも私は恐くてあまりスピードを出さないので置いて行かれる。下りの途中に北回帰線のモニュメントがある。

   
  張りぼてのモニュメント  北回帰線の記念塔

  この頃から天気が悪くなってきた。小雨が降り出してテンション低下。最寄りの光復駅から列車で花蓮まで移動する。
 夕飯は花蓮名物のワンタンを堪能。

   
列車で移動  花蓮名物のワンタン



12/15 太魯閣見物 花蓮→宜蘭 (列車移動)
 今日は完全オフ日。娘「タロコって、行く値打ちがあるの?」「お前、花蓮まできて、ワンタンだけ食べて、タロコは行かなかったといえば笑われるぞ」
 太魯閣国立公園へハイキング。太魯閣は今更書くまでもないだろう(写真も省略しよう)。半日しか時間が取れないため、バスで終点の天祥までいって、太魯閣入り口までバスで戻り散策する。
 花蓮から宜蘭までは、道路が狭く落石の危険性もあり、さらにトラックの交通が多いとのことで電車移動が強く推奨されていることから、列車で移動。まあここを走るのであれば、太魯閣見物は諦めねばならない。

12/16 宜蘭→十分 78km
 本日も晴天、空気が澄みきっている。
 台湾最東端の岬、三貂角を経由して十分まで。宜蘭から海に出てずっと海岸線を走る。風も少なく穏やかな海はただただ美しい。海の色は南と比べると少し濃いかな。交通量は少ないし、本当に素晴らしいサイクリングコース。

   
 亀山島を望む 最東端の三貂角を目指す 
   
三貂角 

 最東岬からは山に入り、天燈飛ばしで有名な十分へ。本当の環島はあくまで海岸沿いに基隆から淡水へと廻るのだろうが、だいたい推奨コースはこちらの方を勧めている。まあ、ソロソロ海岸も飽き飽きしてきたし。このコースは頑張れば今日中に台北に入ることも出来るが、それでは一日余る。
 今日は距離が短いこともあり、お昼過ぎには到着するが十分駅周辺は観光客でごった返しだ。十分瀑布に行って、夕方からはランタン飛ばし。ランタンの各面にお願いごとを書いて飛ばす。色々な言葉で書かれた色とりどりランタンが飛ぶ風景は美しく、みんな笑顔でとても幸せな空気に溢れてる(これは娘の言)。

   
 十分瀑布  十分老街
   

 ここは新興の観光地とあって、ホテル代や食堂の代金はぼったくりだ。


12/17 十分→台北  67km
 長い旅を終え、やっと台北に戻ってきた。
 今日は距離も短いのでゆっくりめの出発、そして最終日も晴天である。台北の週間天気予報は明日から雨。スタート初日は雨に降られたものの、今回本当に天気に恵まれた旅だった。
 台北まで距離も短いので、敢えてヒルクライムコースを選択。標高500mまで300mの登りだ。小一時間で峠に着く。車が少なく、緑が美しい眺めの良いコースのせいか、平日にもかかわらずサイクリストが多い。峠からは遙か先に山仲間のシェルパさんが登ったという基隆山がすっきりとした姿を見せている。上りも下りもやっぱり娘について行けない。基隆、台北間の交通量と信号の多い道路をトロトロと走る。

   
   
 基隆山かな  基隆の辺りを望む

 このまま自転車屋へ行くともったいないので、台北の町の北をかすめてラジウム泉で有名な北投温泉まで行き露天風呂に浸かる。芋の子を洗うような混雑ぶりで、清潔感には乏しいが後までポカポカと暖かい。
 長いようであっという間の12日間であった。環島サイクリングが完走出来たのは全く娘の親孝行のお陰だ。