九州サイクリング (2021.11)
大分・宮崎県道6、7号線と豊肥本線に沿って

 2017年の3月、宮崎県の六峰街道から県道8号線で大分県竹田に出た後、県道7、6号線を走ろうと計画していたのだがとてもとても県8を走って疲労困憊してあきらめた。再挑戦しよう。
 11/11 早朝、フェリー・サンフラワーで神戸港から大分港に到着する。
 まず
豊後大野へと走り出す。大分市街をトロトロ走り、迷いながらなんとか大野川河畔に出て、上流へと豊肥本線に沿って走る。のどかな田園風景の中の道で特に書くほどのことはない。大野市街のスーパーで今夜の夕食と酒を仕入れる。豊後大野市は温泉県の大分県には珍しく温泉がないらしい。

   
 大分港に着いたフェリー 豊肥本線の鉄橋 
   
大野川の流れ1   大野川の流れ2
   
竹中駅   竹中駅を出た普通列車
   
 大野川の流れ3  大野川の流れ4

 県718に入り、丘陵を越えて、大野川の支流奥岳川のまた支流、中津牟礼川(白山川)中流に出て、県45に合流する。川は小さいながら奇岩の間を流れる美しい渓流だ。岩は柱状節理の様子だ。石橋が現れる。中学生の一団が野外学習をやっているので、いろいろ教えてもらう。この轟木橋は数年前の大水で破壊され、作り替えられたらしい。まだこういう技術が残っているのだ。

   
 丘陵を越える 石橋:木橋 
   
白山川の流れ 1  白山川の流れ 2
   
 白山川の流れ 3 白山川の流れ 4 
   
 白山川の流れ 5  白山川の流れ 6

  稻積鍾乳洞。ここまでしつこくこの鍾乳洞への標識が立っていた。折角だから入ってみるか。日本一の水中鍾乳洞と謳っているが、水中には潜れないので見物にはあまり意味はない。往復で1km以上あるが、大半はくり抜いたトンネルのようだ。鍾乳石もあるにはあるがといった程度か。白山川の岩石は石灰岩らしくはないのに何で鍾乳洞があるのだろう?

   
 稻積鍾乳洞 稻積鍾乳洞 2
   
 稻積鍾乳洞 昔の雑貨屋の展示 

 もう3時半を過ぎている。土地の老人に尋ねると、梅津越えに広場があってテントが張れるとのこと。今日はそこまでだな。
 県45は白山川から離れて山中に入り峠へと登ってゆく。200mちょっとの登りだが意外と苦しい。大部体力が衰えている。明日の登りが不安になる。峠の近くではたまらず押し歩きとなる。4時半、梅津越え。ここは西南の役で戦場となった所だが、何の名残もない。周りの山で甲高い鳴き声が響く。鹿かな?
 深夜、久しぶりに見る満天の星だ。
 走行距離 63km 年取ったなー!!

   
梅津越えへ  山道を登る 
   
峠  キャンプサイト 

 11/12 昨夜はぐっすり寝られた。テントが濡れているところをみると、時雨が降ったようだ。
 8時少し前に出発。峠を越えると豊後大野市から佐伯市に入っている。坂を下ると長渕川に出るが、また山腹を駆け上がり杉林の中の悪路をヨタヨタと走る。除(よけ)集落を過ぎると県45は県6に突き当たり終了する。

   
県45は佐伯市に入る  坂を下る 
   
  除(よけ)集落 

 ここからはいよいよ中岳川に沿った本命の県6を遡ってゆく。まあ登りといっても川沿いはなだらかである。しばらく行くと木浦鉱山という集落に出る。江戸時代には日本四大銀山と呼ばれるぐらい盛大な鉱山だったらしいが、いまは面影もない。木浦鉱山を過ぎると杉が越えまで600mの上りであるが、道はなだらかで路面も良好だ。案ずるより産は易しで、比較的簡単に杉が越に到着する。2012年5月に大崩山から祖母山まで縦走した時、このすぐ上の神社でテントを張って、水を汲みにこの道に下りてきたことを思い出す。その頃はこの辺りは未舗装の砂利道だった。杉が越トンネル、標高900m。

   
県6に合流  中岳川 
   
木浦鉱山跡の温泉   
   
道路の真ん中にあるヘリポート  いよいよ登りにかかる 
   
 秋色深し。 傾山? 
   
杉が越  杉が越トンネル 

 トンネルを抜けると、宮崎県日之影町に入る。急坂を下り、日之影川に出ると五ヶ瀬川との合流点まで約30kmの川沿いの道が続く。道路の舗装状態は悪いが、美しい紅葉が慰めてくれる。

   
宮崎側、尾根への登山道がある(傾山、新百姓山へ)   
   
   
   
   
   
   

 8km程下ると、見立に着く。バンガローのあるキャンプ場で上の方に英国館なる建物があるらしい。戦前、ここに鉱山があって英国人技師が指導していたらしい。その住居とのことで、いろいろ展示しているらしい。ちょっと見学したいが上がってゆく元気がない。カモシカの像の傍に腰を下ろして残り物で昼食とする。
 あと坦々とした道を20kmほど下ってゆくとR218の高架橋が見えてきた。これで県6はお終い。

   
カモシカの像   
   
   石垣集落
   
青雲橋(R218)   日之影川の終わり  

 今度は五ヶ瀬川を上流へと辿る。川沿いの道はこの先で行き止まりとなるので、R218へと上る。結構苦しい。ようやくR218 にでる。雨具を付けるほどではないが時雨が降り出した。とにかく高千穂町までは辿り着かなくては。結構上りが多くて苦しい。この道は昔高千穂町から延岡まで走ったことがあるが、あのときは若かったし、下りだった。
 ようやく高千穂市街に辿り着く。もう4時半だ。雨がシトシト降っている。キャンプ地を探す元気がない。町中の古びたビジネスホテルに飛び込む。幸い空き室あり。
 夕食はすぐ前の居酒屋で。親父の作る高千穂牛のすじ肉の煮込み、串焼き、豆腐の味噌だれなどどれもたまらなく旨かった。もう一度食べたいと真剣に思うほどだ。
 走行距離 61km

 
 五ヶ瀬川
   
 六峰街道辺りの山並みか? 雲海橋より岩戸川を見下ろす 

11/13 宿の朝食を食べて、7時出発。寒い! ここは北国かと思うほど。指の出た手袋ではシビれそう。国道沿いのコンビニで手袋とネックウォーマー買う。
 いよいよ県7に挑戦だ。400mから1000mまでの上りだから、標高差は昨日と同じく600mだ。たいしたことない。日之影川とは異なり岩戸川は深く切れ込んだ渓谷を作っていて、住民は山の中腹の段丘に田畑、住居を作っている。眺めが広々として雄大で、爽快な気分である。
 天岩戸神社の前を通り過ぎる。この辺りは以前に巡ったことがあるのでパスする。
 たわわに実った柿の木がある。渋柿かな? 熟して落ちかかったのを一つ頂く。甘い。
 ヘルメットをかぶせた地蔵さん。観光パンフレットに載っているので、これも名物なのだろう。
 対岸へ立派な橋が架かっている。上岩戸大橋。住民にとっては便利にはなったのだろうが、ほとんど民家のない所なので対費用効果はいかがなものでしょうか。
 鉾神社。標高600m。なだらかな上りだったのであまり高度は稼げていない。岩戸五社の一つで由緒ある神社らしい。高千穂神楽の演目である八鉢のユーモラスな像が面白い。
 常光寺滝。紅葉の中でこぢんまりとしているが美しい滝だ。この辺りから人家はなくなり、勾配は急となる。杉林の中を気息奄々と上ってゆく。
 800mを越えた辺りから、樹木はなくなり広大なススキの草原となる。ここはカヤトとか茅場とか呼ばれる茅葺屋根の材料を採るため保存されている草原のようだ。
 もうトンネルは近い。最後の急登。気が抜けてたまらず押し歩きとなる。尾平(おびら)トンネル到着。広い駐車場があり、週末なので登山客の車だろうか、十数台駐車している。2012年の大崩-祖母縦走の時は杉が越で泊まった次の日にちょうどこの上の峠、尾平越でテントを張った。綺麗な水が傍を流れていて、近くにはアケボノツツジが満開だった。

   
   
   
   
   
 ヘルメット地蔵  
   
鉾神社  宮崎県側最後の集落 
   
常光寺滝  路傍の観音 
   
   茅の草原
   
最後の急坂  尾平トンネル 

 トンネルを抜けて、再び大分県豊後大野市に入る。急な下りで路面は大分悪い。こちらからの上りは大変だ。秋色の中を一気に下る。祖母山がきれいに見える。
 坂を下りきると尾平鉱山跡に出る。こんな山奥にホテルがある。大きな野外サウナも付いている。のんびりしたいところだがそうも言っておられぬ。
 県7は奥嶽川に沿って下ってゆくが、川は深い渓谷の下で、道は中腹の段丘を繋いでアップダウンが多い。人家が少なく、道も悪い。
 健男社、巨杉の並木が石段横に並んでいて、由緒ありげな神社だ。上ってみたいが元気がない。
 県7は奥嶽川を離れて、北へ向かう。少し走ったところで県410に入り、豊肥本線玉来駅を目指す。このまま県7を辿ると、原尻の滝に行けたのだがうっかり見落とした。

   
 トンネルを抜ける 祖母山 
   
  ゲストハウス 
   
 奥岳川源流 ツツジ? 
   
健男社  傾山からの山並み 

 路上に車にはねられたイタチの死骸を見る。実物のイタチを見るのは初めてである。なかなか凶悪な顔をしている。
 県410は県8と合流して終わる。ここは竹田湧水群で清水が湧き出している。前回、県8を通った時も、ここに立ち寄った。コップに汲んで喉を潤す。蕎麦屋で蕎麦を食べようと思ったがもう売りきれとのこと。かわいい猫の写真だけが収穫だ。
 玉来駅のスーパーで夕食を手に入れ、県135で豊肥本線に沿って西へと走る。明日はやまなみハイウェイに入る予定だ。県135もアップダウンが激しい。ヨタヨタしているうちにもう4時を過ぎた。ちょうど広い公園が見えてきた。馬背野峠、高鼻公園というらしい。トイレも水もある。公園の中央に巨大な馬頭観音像が立っている。怖い顔で辟邪を寄せつけない様子である。この下なら安心して寝られるか。
 ここは江戸末期の大きな一揆の集結地だったらしい。また、西南の役の激戦地でもあったとのこと。
 夕食は酒を飲みながら、豚足をしゃぶる。
 走行距離 61km 

   
イタチの死骸  県7を行く 
   
名水の里、蕎麦屋の猫   高鼻公園 馬頭観音
   
  高鼻公園  高鼻公園 

 11/14 今日は快晴だ。いつもの通り、8時前出発。まずは豊後荻駅。高原を豊肥本線に沿って走る。県境を越えて熊本県に入る。次の駅は滝水。小さな集落だ。次の波野駅でちょうど特急「あそぼーい」が通り過ぎた。ほう、ここが九州最高点の駅なんだ。754m。昨日の玉来駅が300mだったから、結構上ってきている。さらに西に走り、標高800mを越えて、R57に出る。予定ではここからR57を横切って、ミルクロードを北上して、やまなみハイウェイを走るつもりだった。
 ところが数日来の便秘が苦しくて、昨夜緩下剤を服用した。それが効き過ぎた。ここまで駅ごとにトイレを使ったが、ここから先はトイレがどこにあるか分からない。ここまで走ったらもういいか。国道を阿蘇へ下ろう。
 阿蘇神社にお参りして、今回のサイクリングを終了しました。
 走行距離 34km

   
豊後荻駅   高原野菜 白菜かな・
   
滝水駅   滝水駅ホーム
   
 波野の紅葉 波野駅を通過する観光特急「あそぼーい」 
   
 波野駅  R57から見る阿蘇盆地
   
工事中の阿蘇神社楼門(壁に描かれた絵:再来年に完成とのこと)   七五三で賑わう新社殿