宇治上神社(宇治・醍醐ハイキング)
2023 02

 小生二十歳頃のことであるから、約60年ほど前のことになる。大阪の下宿から一人で宇治へ観光に出かけた。まあ、平等院を見に出かけたのであろう。その辺りのことは全く記憶にないのだが、ブラブラと散策して宇治川対岸の山手のひっそりとした神社に辿り着いた。森閑とした境内を進んで拝殿を廻り込んで社殿が見えたところで立ち尽くした。こんな清浄な空間は初めてだった。神様がいると感じた。それが宇治上神社だった。
 それから今まで、数知れない神社を参詣して、神聖で荘厳さに感動したことも多々あったが、あそこほどの清らかさを感じたことはなかった。それから60年、いつも心に残っていたが、訪ねたことはなかった。あのときの思い出が壊れるのが怖かったのだ。しかし、私ももう80歳、最後にもう一度お参りしたいと思うようになった。あれ以来、平等院とともに世界遺産に指定されたので、もう昔の静寂さは期待できないだろうが。

 京阪電車宇治駅に下り立ったのは2月下旬の寒い朝。雪がヒラヒラと舞っている。宇治橋を渡り、縣神社の大きな鳥居を抜け宇治茶の店が並ぶ通りを進むと橋姫神社がある。もとは宇治橋の上にあって、橋の守り神として祀られていたらしい。橋姫といえば能面では鬼女で丑の刻参りなど恐ろしい場面で使われるらしいがどういう因縁なのかな? さらに進んで縣神社にでる。これも由緒ありげな社だがちょっと拝んで左に折れ、平等院南口に出る。今回はパスして宇治川河畔に出る。塔ノ島、橘島から朝霧橋を渡って宇治川東岸に出る。宇治神社。これは宇治上神社とセットとなった神社でお祀りしている神様も同じだ。

   
宇治橋 橋姫神社
   
宇治川上流を望む  対岸の発電所からの放水
   
浮島十三重石塔 宇治神社

 宇治神社を出て、小道を進むと宇治上神社の鳥居が見えてくる。正面が拝殿でその右手、桐原水(宇治七名水の一)を抜けるとご本殿だ。うーん。やはり昔見たときほどの感動はないな。しかし、清浄な雰囲気は十分にある。宇治上神社は日本最古の神社建築で本殿、拝殿は国宝に指定されている。御祭神は第一殿に菟道稚郎子命(うじわきいらつこのみこと:応神天皇の皇子)、第二殿に応神天皇、第三殿に仁徳天皇をお祀りしているが、勿論、主祭神はこの地で亡くなった菟道稚郎子命である。戦前の社格は宇治神社が府社、宇治上神社が村社であったらしい。つまり村の鎮守様といった扱いだった。社務所で御幣とうさぎのお守りを戴く。うさぎは今年の干支というのではなく、菟道稚郎子命を河内からこの地まで案内したのがうさぎというので通年のお守りというわけだ。

   
宇治上神社鳥居 拝殿
   
桐原水 本殿
   
本殿 本殿
   
本殿 兎のお守り 
 

 これで主目的はやり遂げたのだが、これでは運動不足だ。裏山の大吉山(131m)に登る。平等院が眼下に見える。はるかに大阪方面も広々と拡がっている。ここからは東海自然歩道をたどり、志津川集落に出る。ここから川沿いに舗装された林道をたどり炭山集落に向かう。志津川は上流の集落から出たらしいゴミがいっぱい散らかっている興ざめな流れだ。途中には砕石を取る大きな作業場があり、ますます殺風景だ。
 やがて炭山。山間の農村集落かと思ったら、大阪の下町のような町工場が並び、家屋も100戸以上ある山の中にしてはちょっと変わった集落だ。本格的な農家はあまり見当たらない。ここから下流へゴミが流れ出しているんだな。早々に炭山を通り抜けて、醍醐寺へと向かう。志津川も小さな流れになって、地道の林道に変わる。谷沿いに急な上りの道を辿って行くと、急に通行止めのチェーンが掛かっていて、ここからは職員以外は入ってはいけないらしい。そんなこと言われても年寄りにはここからはもう引き返すことも出来ない。見つかったらお詫びを言うことにして通らせてもらおう。やがて、広場に出て車はここまでらしい。すぐ上はもう上醍醐のお寺のようだ。要するにこの道は上醍醐への物資運搬道のようだ。そこから寺域へ入ってゆくところで案の定坊さんに咎められた。事情を話して、通してもらう。上醍醐は三室戸寺の次の西国札所なので徒歩の場合はこの道が最短コースとなり時々は通ってくる人がいるようだ。小生は西国巡礼よりは修験道の方に興味があるので五大堂に参詣する。お堂の前には三人の修験者の像が並んでいるが、中央には真言宗の修験道の開祖、理源大師の像で、脇に役行者ともう一人は誰かな? しかし、いかに真言修験の本山にしても理源大師を役行者の上に置くのはどうかな?
 もう時間も押している早々に下醍醐へと下る。運動不足で下りが堪える。ようやく上醍醐登山口の女人堂まで下ってきた。もう料金所も無人になっているが、入山料を置いて出てくる。こんなところで無銭でズルすると、御利益どころか罰があたる。
 行程 15km、時間 約6時間、獲得高度 1200mでした。年だな。ああシンド。

   
平等院 大阪方面展望
   
大吉山から志津川へ(東海自然歩道)  炭山集落へ入る
   
   
   
炭山から醍醐寺へ  醍醐寺への林道 
   
  醍醐寺に入る 
   
五大堂  三宝院唐門