めぐるとき

 

 

ひそやかにキリテカナワの歌ききてまどろみおりし春あさぼらけ

 

 

沈丁花一輪香りて春近し木蓮のつぼみいまだかたけれど

 

 

ふくいくと香りただよう沈丁花弥生の月はおぼろに照りて

 

 

くちなしのおぐらきみちに香ただよいはるか天空星のながれぬ

 

 

殺生石舞金剛の女体かな異次元世界にあそぶ心地す

 

 

北国の春の遅きに涙せりきみ葬むりて南へむかう

 

 

北国の薄き陽のもと街あるく花も草木も異国の風あり

 

 

はるにれの高き木立に風ゆきて待てるごとくに花咲きそろう

 

 

飯盛の山のふもとに憩いたり聞くは葉ずれと蝉の声のみ

 

 

梨花ゆらす高原の風柔らげに白樺の葉もひかりに照りぬ

 

 

木の下にあさぎまだら舞える森たどれば淡く大普賢みゆ

 

 

暑きかなまた涼しといいつ日はすぎてそれとは知らず秋はきにけり

 

 

野分けあけ茶臼の山に虫すだくちぬの海原紫雲たなびく

 

 

秋の末わずか見ぬ間の木々の葉は散りて寂しくなりにけるかも

 

 

嵐疾く暗き水面に鳥なきてとよめき泡だつ波と競える

 

 

うらがれの芦の浜辺にかもなきていさりをすなる冬の夕暮れ

 

 

村櫛の夜はふけゆきて浜名湖にともるは漁り火はたまぼろしか

 

 

しんしんと凍れる寺の軒端よりくまなく降れる雪をながめつ

 

 

茶臼山かかれる月のほの青くあわれとぞ見むあさぼらけかな

 

 

冬ごもり早寝の夜のまだあけず詠みちらしたる歌のいくばく

 

 

夜更け聴くカーペンターズ声澄みて想いはオンリーイエスタディー

 

 

 

あとがき

 

 第二歌集は以上で終わります。付き合っていただきありがとうございました。内容や編集を見直して、そのうちに確定版を載せたいと思っています。

 

 

 前のページへ 

 魁猿のホームページへ 

 禿羊のホームページへ