富山ふたたび

銀嶺の連なる富山ふたたびぞ知りける人はいかにおはすや

白銀の薬師岳よりながむれば地上あまねく新緑に満つ

薬師岳白銀の峰月照りて街の灯りのまばたくが見ゆ

吹雪鳴る太郎の小屋に酔ひしれて夢見る夢はたが夢なるか

シュプールの残る北俣たちゆけば霧ののぼれる風はたつよし

紅き木瓜つぼみの少しふくらみてあかつき降れる雪にたへたり

そそりたつ黒き欅の梢にも春のしるしの風ふきわたる

アカシアの花ふみしだき香にむせぶこの路もはや遠き思ひ出

薄日さす橋に日傘の媼あり五月のひざしやうやくつよし

あはあはと萌ゆる若葉に杉木立むらさき添ふるは藤の花なり

峰白き己がこころの山山は夕やみのなかうすれゆきたり

夜の街さまよひあるきいくばくか残せし想ひのかけらひろひぬ

 

 

 

 

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