友よ

満月の夜のしじまを流れゆく友のひきたる月光の曲

浜松の佐鳴湖てふ湖のほとりにてきみはむすばれしとぞ

万葉の園に咲きたる卯の花のうれしきことは友に会ひたる

たまさかはあひたきものぞ遠州の木木赤赤と燃えたる頃に

高槻の山の寺にてつまびきし銀色の道忘れたまふか

親しめるはらから多くはなけれども斜かかまへし人のみ多し

遠山川白き河原にさをふれる友のかひなにあきつとまれる

葡萄美酒夜光杯の詩吟じつつ沙上に酔へるはわがともなるか

忘れじのことばかけつつ汽車追ひし幼き友はいかにおはすや

恋ふれどもいづこにおはすわが友よ心のなかにすめるといへども

下鴨の糺の杜に秋ふかし落葉ふみしめともどち訪ぬ

梅雨はれてはつか濡れたる木の間より光さしきぬ別れに堪へたり

虫すだく鈴鹿の谷に火を焚きて酒くみかはす古き友かな

 

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