熊野

秋深し万紅葉の山に入るいにしへびとのたどりし道を

伯母子越ゆる人の姿の露もみず経りにし時もかくありつるか

山の辺に石垣残る宿の跡とりかぶとのみ寂しく生ふる

熊野なる神の国へと入りたる冬枯れそめし小辺路たどりて

波たぎる急流こぎて下り行く熊野の水の玲瓏にして

熊野灘ニライカナイの彼方よりとこしなへにぞ寄する波かな

千年の古道に生ふる楠の木の肌へにふれて時をたどりぬ

道の辺に咲ける馬酔木をめでつ行くいにしへ人もかくありつるか

熊野へとつづく道の遠ければ霊験のなほあらたかときく

 

 

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