山ゆけど

山ゆけど心はからだをはなれたるきみがあたりをただよへるかも

おもふれば十九はたちのころなれや山よりほかに学びしことなし

おもき荷をせおひてたどる吉野路の峰のもみぢ葉さかりなりけり

木の下にあさぎまだら舞へる森たどれば淡く大普賢みゆ

風わたる鹿のぬたばや易老岳またくることのありにけるかも

御岳は島のごとくにうかびたり富士は東に茜さしたり

這松に霧たちのぼる鹿島槍かなたの剱雲茫茫

わが恋ふる剣の峰の黒黒と暮れてゆけるをながめをりしか

霧流る槍の穂先にたちをればブロッケン光怪しくひかる

霧の舞ひあらし疾くふく槍沢に花は可憐に咲きにけるかも

霧降りて全山秋の気配なる今年の夏は早くいぬめり

御池なる峰に生ひたる福寿草こがねの色に輝きにけむ

苔むして太古然たるぶなの森ぬけて豁然白山の見ゆ

太古より生ふる常盤木そびえたち短き人の命みつめぬ

 

 

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