やまさと

風澄みて光かがやくやまさとの葉照る五月は命なりけり

香ばしき五月の風を手にうけて口にふくみぬ茶畑のなか

竹そよぎ風ひかりたる山里にはらからつどひてむつみけるかも

茶畑の薫れるころはうぐひすの声のきこゆる朝な夕なに

春の樹は濃きと淡きをこきまぜてきそへるごとく萌えにけるかも

炭焼きの紫煙たなびくそまみちに今年も馬酔木は咲きほこりたり

しらじらと明けそめにける山里にうぐひす鳴きて春はいぬめり

病葉の深きを踏みしめ登りゆく小舎への道は誰が足跡ぞ

冬枯れし雑木の林さすらひてそぞろ語りし人なつかしむ 

ゆくほどに足うずもれぬ病葉に人の姿のつゆともみえず

山並みのはつかかすみて空青し枯れし梢に冬陽さしたり

やまなかの路をたどればかすかにぞ一輪の梅香りただよふ

山つつぢ咲ける木の間にうぐひすのひそかになける春のあけぼの

 

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