おちこちにて


むらくもの流れて月のさやけきにさそわれ踊るおわら風の盆


ようやくに月煌々と現われて闇に踊れる人を照らしぬ


西天に月呑める雲湧出でて胡弓の音のみしじま破りぬ


有磯海ふりさけ見れば二上のかのいにしえの歌人思ほゆ


射水川馬並め渡る舎人びと見ゆるが如く時を返して


奈呉の海しぎたず鳴きて暮れ行きぬかすかに見ゆるは虹の小島か


英遠
(あお)の城址入江に氷雨ふりこめてかもめの群の声のみたかし


氷見のまち湖城の宿に湯あみする海の香りのほのかにただよう


氷見の浜かなたに白き立の山海鳥飛びてたそがれ行きぬ


白き山たいまつ紅く空焦がす宇奈月の湯 雪のカーニバル


湯の町の左義長の火の紅々と登りて空の星とはなりぬ


利賀の里ネパール絵師のマンダラに心うばわれ彼の世に遊ぶ


川へだつ真白き山に人二人深雪の里に春まだ浅し


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